01/24の日記
11:19
クリスマス(にアップ予定だった)新田SS
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※ハロウィン新田話の設定です。
なんだか無駄に裏設定がいっぱいなのは仕様です(笑)
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クリスマスパーティーの会場で、目があった見知った顔に思わず足が止まった。
「…なんでまたアンタがいるのよ」
「それは今度こそこっちのセリフだ。今日はNASAのクリスマスパーティーだろ」
「勝手に来た訳じゃないわよ。ヒビトとヒビトの恋人!…それからムッタが誘ってくれたのよ」
「……それで、今日もなんだその格好」
「なによカワイイでしょ?クリスマスと言えばサンタクロースよ!」
「………」
「……なによ」
「別に」
「……ねぇ、前といい言いたい事があるなら…」
「あれ〜〜?」
そう口を開いた瞬間2人の間に響く陽気な声。
振り向けばすでに赤い顔をした職員が2人、彼女に向かって口笛を吹いた。
「かわいいサンタクロースがいるぞ!」
「こっちで一緒に飲まない?」
「「………」」
思わず無言で合わせた視線を先に逸らしたのは新田で。
それがなんだか気に入らず、新田に背を向け2人の方へと笑顔を向ける。
「知ってる?サンタクロースってアルコールに強いのよ?」
「おー、いいねー」
「飲もう飲もう!」
楽しそうに傾けられたグラスにカチンとグラスを合わせて、半分ほど残っていたシャンパンを一気に煽ろうとした時だった。
「やめとけ、やけ酒はみっともないぜ」
「っ」
手の中から消えたグラスと肩に乗せられた熱い手。
それに振り向き様に目に入った光景が、…楽しそうに、嬉しそうに、『彼女』と手を繋ぎ踊る彼の姿が、口にしようとした苦情を飲み込ませた。
そんな姿をじっと見つめながら新田はため息を一つ吐き、上着を脱ぐと彼女の頭から被せる。
「……行くぞ、バカ」
「…誰がバカなのよ」
「お前以外いないだろ」
「…やっぱりアンタなんて嫌いよ」
「…知ってるよ」
……嫌いよ、大嫌い。アンタなんて本当に嫌いなんだから……
肩に回された手に促されるまま会場を抜ける。
狭い路地裏で、引き寄せられる。
「…大嫌い…」
「……わかってる」
そんな返事と共に頬を伝う涙を吸い取る唇に、…唇に降りてきた優しい口づけに黙って目を閉じた。
「…やっぱり俺もバカだな」
抱きしめられた腕の中、新田の口からポツリと漏れたそんな呟き。
「…そうよ、バカよレイジ…」
…だけど。
「わかってるんだけどな…それでも好きだから仕方ない」
優しいその声は聞くたび確かに深く心に降り積もっていて…苦しくなる胸に堪らずその背に回した腕を強くする。
「私が好きなのは彼よ。片想いでも、好きなの…」
「知ってる」
「…レイジに想われても返せないのよ」
「今はまだいい」
「………やっぱりバカだわ」
「ああ、知ってる」
暖かなその胸に顔を埋めながら、彼女は唇を噛み締める。
降り積もっている気持ちは彼の物だけじゃない。
大嫌い……だったはずなのに。
きつい言葉とは裏腹にどこまでも優しいこの腕に甘えてしまうのが、悪い事だとわかっているのに。
この腕を振りほどけないのは、いつの間にか辛い恋のせいだけではなくなっていた。
end
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