小説置場

□なんだかんだで、やっぱり好き。
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倉間の元へ歩み寄り、

倉間と同じ目線でしゃがんで、
頭のヘッドホンを外して


「よう」


と一言声をかける。


たった一言、喋るだけで、心臓が煩い。


「み、なみ沢さん……」


なんで?と震える唇で発する可愛い声。


ヤバい。泣きそうなほど愛しい


「んー…なんでだろうな??」


「っ……オレら別れましたよね……っ??」


涙目でそう言う倉間。

「ん。だけどさ、」


「やっぱり好き」


「それだけじゃ、理由にならない??」

「……なるわけないじゃないですかっ、」


「うん」


ごめんな、泣かせて。


「今さら遅いですよっ……」


「ん。ごめんな」


でもさ、その涙はさ、

嬉し涙だよな。


「だから、今度は俺から言わせて……?」


泣きじゃくる倉間の目にキスを一つ落として、


「倉間が好き。俺と付き合って下さい」


目を反らさずに真っ直ぐに見つめて、俺は言った。


倉間は泣きじゃくりながらも、


「オレ、っも…好きっ…です」


嗚咽混じりにそう言ってくれた。


「ありがとな」



持っていた傘を傾けて、


久しぶりに倉間とキスをした。
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