SHINee of STORY

□your pace
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「あ、あの!ありがとうございました!」


女の子が僕に向かって頭を下げる。


「いや、大したことしてないんで。」


「あれ?もしかして‥

ヤバい!

この子にもバレてしまったみたいだ。

仕方ないと覚悟を決める。


「私より年下じゃないですか?」


「へ?」


思いもよらない言葉にマヌケな声が出てしまう。

バレてない?

どうやら、バレていないようで安心する。

それにしてもどうみたって僕の方が年上にみえる。


「何年生まれですか?私、86年生まれなんですけど。」


86年?

嘘?

僕より5つも年上じゃん!


「すいません、僕91年なんで僕の方が年下でした。」


「だよねー。私そんな下にみえたわけ?」


「すいません‥。」


「やだ。許さない。」


え?

許さないって‥

「冗談だよ。助けてもらったから許す。」


「あ、ありがとうございます。」


「だから、はい。」


そう言って彼女は右の手のひらを広げて僕に差し出す。

訳が分からず戸惑っていると彼女が言葉を続けた。


「携帯貸して。」


あぁ、携帯か、と思い彼女に渡す。

渡してから気付いた。

僕ってば何知らない人に携帯渡しちゃってんの?

マズいでしょ。

そんな僕の思いとは裏腹に彼女は真剣に僕の携帯で何かをしている。


「はい、ありがとう。」


「あ、はい。」


「本当は今すぐにでもお礼したいんだけど、私仕事中だから、夜電話するね。その番号が私の番号だから出てね?」


携帯の画面を見ると知らない9桁の番号が発信履歴にあった。


「あ、はい。わかりました。」


「それじゃぁ、私行かなきゃ。本当にありがとうございました!また夜ねー、ばいばい。」


そう言って彼女は満面の笑みを見せて去っていった。

何て言うか始終彼女のペースだった気がする。

少しその場で呆然としていたが、オニュヒョンからの電話で我に返る。

ヤバい。

宿舎に戻んなきゃ。

僕は慌てて宿舎へ戻る道を歩き出した。
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