V.I.U
□V.I.U ヒョンスン
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「スン!こっち!」
人気のない公園に足を踏み入れた瞬間、小さい声で呼ばれる。
夜中という時間に、マスクとキャップを被っている僕の名を呼んだ彼女は、はっきり言って不審者にしか見えない。
「あれ?もしかして時間間違えた?」
いつもは、僕が待つのに、珍しく僕より先に着いていた彼女に驚く。
「ううん。今日は早く終わったのー。」
そう言って、マスクを外す彼女。
さっきまで、不審者にしか見えなかった彼女が、マスクを外した途端、誰もが振り向くようなかわいい顔が現れる。
僕の彼女は、同業者、つまりアイドル。
ただ、僕と違って彼女は1人で活動している。
人気絶頂の今、彼女の事務所はスキャンダルを一切認めない。
だから、僕たちは、人目を気にして会わなければならない。
ここの公園は夜になると人っ子1人見当たらない、絶好の密会場所だ。
「ゆり、また痩せた?」
「良く分かったね。マネージャー仕事つめすぎだよね。」
「何か突っ走ってるって感じだよね。」
「あはは。でも、突っ走れるのは、スンがいるからだよ?」
「えっ?僕ゆりを追いかけたことないよ?」
「うん、私もスンに追いかけられたことはないよ。」
「??」
「もし、いつか人気がなくなって、誰も見向きもしなくなったとしても、スンは私をみてくれるでしょ?だから、何も恐れず突っ走れるんだよ。」
「そういうことか。僕は例え何があっても、ゆりだけをみてるよ。約束する。だから安心して突っ走りな。」
「ありがとう、スン。」
僕は君なしじゃ駄目なんだ。
君には僕なしじゃ駄目なんだ。