長編

□03
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「すごい爆音でしたね、すごい帰りたくなりました」

「あたしもそう思ってたとこなの。先に帰りましょうか」

「また言ってるよ....」


あれから数時間、やっとライブが終わった。
まさかこんなに爆音だとは思わなかった。

ライブ中に何度も牙琉さんがこちらを見ていたけど、私はダイアンさんの頭を何度も見ていた。

そして今現在、ガリューウエーブの楽屋前で牙琉さんを待っているのである。
すると。


「あ、牙琉さん!!」

「あぁ、翔じゃないか」


翔はすぐさま牙琉さんに駆け寄った。
牙琉さんは翔の頭を撫でながら微笑んでいた。
戻ってきた牙琉さんはキラキラと光っていた。


「牙琉さん、お疲れ様でした」

「名無しさん!」

「すごかったです。(主にダイアンさんの髪の毛と爆音で)」

「ありがとう。あ、ライブ中に僕は君に熱い視線を送っていたんだけど名無しさんは気付いてくれたかな」

「全然気付きませんデシター」


と牙琉さんと会話をしていると誰かがこっちへやってきた。


「ガリューちょっといいか?」

「?」

「(あ、ダイアンさんだ)」


とダイアンさんは牙琉さんを連れて少し離れたところで何やら話をし始めた。
しばらくその姿を見ているとみるみるうちにダイアンさんが怒りはじめた。
そしてイライラしながら私をちらっと見ては目の前を通りどこかへ行ってしまった。
するとさっきまでキラキラと輝いていた様子と違い、険しい顔をした牙琉さんが戻ってきた。
何処となく何か悩んでいる表情でもある。


「すまない、ちょっと楽屋で休憩してくるよ」

「....あっ」


そう言うと牙琉さんは楽屋に入ってしまった。


「牙琉さんどうしたんだろ」

「翔くん、あんな時の牙琉検事はそっとしておくのが一番よ」

「あの、」

「どうしたの姉ちゃん」

「私ちょっと御手洗いに行ってくる!!」

「あ、ちょっ、名無しさんちゃん!トイレなら反対側....」


私は茜さんの言葉を聞かずにダイアンさんが向かった方向へ走って行った。


「名無しさんちゃん、行っちゃったね」

「そうですね。きっとダイアンさんを追いかけたんだと」

「それじゃ、あたしたちはかりんとう食べながら待ってようか」

「あ、茜さんありがとうございます」


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