長編
□01
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「すみませんでしたーっ!!」
「全く...すみませんで済んだら検事はいらないんだよ。
わかってる?」
「検事じゃなくて警察だと思います。っていうか検事ってなんすか」
頭を下げたかと思うと顔を上げて姉ちゃんも謝れよ、と言わんばかりの弟の目つきがぐさぐさと突き刺さる。
いやいや、そんな目で見られても私がボールを当てた訳じゃないし....。
「まぁいいよ、僕の大切な顔が大変な事にならなくて」
ボールが当たった通行人の方は前髪をサラァと靡かせると自分に浸っていた。
するとその通行人の方をずっと見ていた翔が、目をキラキラと輝かせ話しかけてきた
「...ね、姉ちゃん」
「?」
「この人...
ガリューウエーブの人だよ!!」
「ガリュー....?」
ガリューウエーブと言う言葉に反応した通行人さん。
すると通行人さんは爽やかな笑みを浮かべた。
「そう。この僕が
ガリューウエーブのボーカルの牙琉響也さ」
「おぉ...!」
牙琉響也と名乗った人はエアギターを披露した後キラキラと光る粒子をばら撒いた。
翔はそれを見て小さく拍手をしている。
しかし...
「ごめん翔。私ガリューなんとかって興味ないんだよね。
とは言えないよなー」
私はわざとらしくそう言って腕を組むと牙琉さんは逮捕するよ、と笑顔で言ってきたので冗談ですと後付けした。
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