長編

□05
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「よし、これぐらいで大丈夫かな....翔、準備できた?」

「うん、出来てる!」

「それじゃ、行こうか」

「うん!」


この間まで肌寒かったのが、今では桜も咲き乱れてすっかり暖かくなった春。私達はお花見の準備をしていた。
そして私と翔は荷物を片手に家を出た。

どうして突然お花見なのかというと、そう、全ては牙琉さんが原因である。
と言いたいところだけど、今回は私からお誘いしたのである。

それは何日も前の事、私は牙琉さんに電話をかけた。


「プルルルル  ガチャ」

「なんだい?今とっても忙しいんだけど?」

「あ、もしもし牙琉さん。今お忙しいんですか?」

「名無しさん!?い、一体どうしたんだい?!
....君から愛の電話を掛けてくるなんて珍しい事もあるんだね」


牙琉さんは焦ったかと思うと直ぐさまそんな事を言っていた。
こんなに焦った牙琉さんを見られるのは珍しいな....


「落ち着いてください。それから残念ですけど、愛の電話じゃないです。
牙琉さん、今度の日曜日って忙しいですか?」

「(日曜日....スケジュールにはまだ何も書いてないね。)全然忙しくないに決まってるじゃないか。むしろ僕からデートに誘おうとしていたんだ」


なに言ってんだろ、牙琉さん。と思いつつも私は話を続けた。


「日曜日にお花見をしようと思うんですが「行くよ」

「(途中までしか言ってないのに早いな....)
そう言うと思ってました。それじゃあ今から時間と場所を教えますね」

「オーケイ」


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