長編
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「よし、これぐらいで大丈夫かな....翔、準備できた?」
「うん、出来てる!」
「それじゃ、行こうか」
「うん!」
この間まで肌寒かったのが、今では桜も咲き乱れてすっかり暖かくなった春。私達はお花見の準備をしていた。
そして私と翔は荷物を片手に家を出た。
どうして突然お花見なのかというと、そう、全ては牙琉さんが原因である。
と言いたいところだけど、今回は私からお誘いしたのである。
それは何日も前の事、私は牙琉さんに電話をかけた。
「プルルルル ガチャ」
「なんだい?今とっても忙しいんだけど?」
「あ、もしもし牙琉さん。今お忙しいんですか?」
「名無しさん!?い、一体どうしたんだい?!
....君から愛の電話を掛けてくるなんて珍しい事もあるんだね」
牙琉さんは焦ったかと思うと直ぐさまそんな事を言っていた。
こんなに焦った牙琉さんを見られるのは珍しいな....
「落ち着いてください。それから残念ですけど、愛の電話じゃないです。
牙琉さん、今度の日曜日って忙しいですか?」
「(日曜日....スケジュールにはまだ何も書いてないね。)全然忙しくないに決まってるじゃないか。むしろ僕からデートに誘おうとしていたんだ」
なに言ってんだろ、牙琉さん。と思いつつも私は話を続けた。
「日曜日にお花見をしようと思うんですが「行くよ」
「(途中までしか言ってないのに早いな....)
そう言うと思ってました。それじゃあ今から時間と場所を教えますね」
「オーケイ」
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