長編

□06
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「う、うわあ...」


私は立ち竦んでいた。
なぜ立ち竦んでいるかというと、それはちょっと前の話になる。

下校しようと鞄に荷物を入れていると隣のクラスの葱鮪くん(※長編 02を参照)に、声を掛けられたのである。
なんだろうと思いつつも話を聞いてみた。

何らかの理由でもう今は使われなくなっている旧校舎に行った葱鮪くんが、誰も居ないはずなのに誰かが居たと言うのだ。


「それで、その時に落とした携帯を私に取ってこいと....」

「お、お願いしますっ...!!」


と立ち竦む私の後ろでびくびくと怯えている葱鮪くんは、震えた声でそう言った。
これ普通逆なんじゃないか.... と言うか、なんでもっと早く言ってくれなかったんだろう。
放課後じゃなくたっていいじゃない葱鮪くん!!


「それで、携帯はどの辺に落としたとか覚えてる?」

「3階、ってことぐらいしか覚えてないです...」

「....仕方ない、気合い入れて行くか」


れ、霊的なものじゃないと信じたい。
葱鮪くんは旧校舎の前で待ってると言うのだ。普通は付いてきてくれるものじゃないのか... と思いつつ深呼吸をした。
それじゃあ行ってくるから、と言って私は旧校舎の玄関のドアに手をかけた。


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