長編
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「姉ちゃーん、投げるよー」
「よーし、こいっ!」
河川敷にて。
現在弟の翔が野球ボールを投げる、そして私がそれをキャッチするだけの簡単なお仕事をしている。
「投げるよー」
「いいよー」
「そーれっ」
ドゴッ
「あ」
「...」
翔が投げたボールがたまたま歩いていた通行人に当たってしまった。
ものすごい鈍い音が聞こえたな......
「ね、姉ちゃん!」
通行人の顔面に直撃したのを目撃したのか、焦った翔が私の元へ駆け寄る。
「やっちゃったね」
「やっちゃったね、じゃないよ!!」
「よしっ...逃げるよ、翔」
「えぇぇええええっっっ?!!」
私が逃げようとしたところ、顔面にボールの跡をつけている通行人に後ろから腕をがっしりと掴まれていた。
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