1859text-4 季節もの・お題

□Melty Kiss
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まっすぐに自分を突き通す、奴の力に憧れた。

負けず嫌いの切れ長の眼差し。
その鋭い目線に射竦められる瞬間が、嫌いじゃなかった。

殺気に背筋が凍るような感覚と、漆黒の瞳を独占しているという、自分でも理解のできない満足で胸が一杯になる。

雲雀と時々対峙する機会がある、それだけで獄寺は充分だったのだ。

チョコレートを贈ってみようと思ったのは、ほんの思いつきだった。
無記名で置いたチョコレートに雲雀がどんな反応を示すか、好奇心が湧いただけの事だ。
その様子をこっそり陰から伺ってやろうと思っていたのに、先に見つかって観察されていたとまでは思わなかったが。

そんな淡い恋心が雲雀に暴かれて、生々しい欲望へ塗り替えられていく。

雲雀の指が辿った跡が、痺れるように甘く疼いて、獄寺の下肢を刺激した。
こんな時、どうしたらいいか判らない。

「あ、あ……!! や、めろ……ヒバリ……!」

他人の体温なんて知らない、一人きりで何でも済ませてきた獄寺の孤独の隙間を、雲雀の体温の高い指先が浸食した。

再びくちづけられて、彷徨う獄寺の手を雲雀が器用に絡め取り、シャツを捲って獄寺の胸元をはだけていく。

「君の粘膜って、やらしい色だ」

「ばっ……!」

「何で? 褒めたのに」

火を噴きそうな顔色で獄寺が抵抗する。

「そうだ、思い付いたよ。
バレンタインのお礼、君のカラダに奉仕してあげようか。
じっとしててよね」

妙に生真面目に言い募る雲雀に、獄寺は真っ赤な顔のまま途方に暮れた。
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