その瞳に映るもの
□別れと始まりと出会いと
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『ツバキィー、ツーバーキー??』
あれ、いつもこのへんに…
『あっ、いた』
「ニャアー」
真っ黒な猫のツバキが鳴く
『ほぉら、今日はご馳走だぞー?』
私は ボロボロの腰バッグの中から 香ばしい香りのパンを取り出す
ツバキは嬉しそうな顔をした
「ニャーニャー!」
『こぉら、ちぎってやるからまてまて クスクス、ほんとかわいいな お前は、ほれっ』
私は ちぎったパンをツバキに手でさしだす
ツバキは ムシャムシャとたべる
私もそれをみながら もうひとつ取りだし一口かぶりついた
うん、満腹とはいかないが
いつもよりは満足だ
ツバキもそれを悟ったかのように
ニャー と鳴く
ツバキを撫でながら 明かりのない
暗い路地の先を眺めた
『暗いなぁ…』