創作
□サークルコミュニティ
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洋子が森林に出会ったのは大学の時だ。森林は変わった人だった。
もともと彼女は美人にも美形ともとれる完璧な容姿だったので注目はされていたのだが、性格や感性等が一般とはかなり違っていた。
それが原因で彼女のことを遠巻きに人々が見ている中、なぜかわたしだけは森林に近寄っていた。
この人、森林と一緒にいれば退屈だった毎日が楽しい日々に変わるに違いない、と。だから迷わず洋子は、この世界に飛び込んだ。
別に2人だけが目的地へ向かっているわけではなく、他にもいる。
あと5人は最低はいるはずだ。
五年ぶりに森林と洋子が所属しているサークルコミュニティが活動をしはじめた。丸々五年か。……あの日以来の活動というわけだ。
「……重田が死んだ以来の活動だな。もうあれから、丸々五年も経ったんだな。……早いもんだ」
森林も思い出したのか、一言二言溢し、サングラスを押し上げる。
あの日。……8月15日。今日でもあるが、あの日もコミュニティが活動していた。あの日までは、毎日のように活動していたのだ。
重田直久は明るく元気な、ムードメイカーのような青年だった。
あの時、なぜ彼を止めなかったのか。誰もが止めようとしなかった。わたしも。森林も。他のメンバーも。だが、後悔しても遅い。
「わたし……時々、重田くんを夢で見るんです。なんで助けてくれなかったんだ?オレはお前達を許さない。……そう叫ぶんです。あの時の顔で、何度も叫ぶんです」
重田の死に顔は、恐怖でひきつっていた。あの顔が、頭から離れない。わたしは夢の中でただただ彼に謝ることしかできなかった。
「……管理人は一体なにを考えているんだろうな。……よりにもよってこんな日に集会を開くだなんて……。そうは思わないか牧野」
「…………」
森林は洋子の名前を出したが、同意を求めているわけではない。
無言になった。車の音だけを響かせながら目的地を目指していた。
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