オリガミ
□002【キスから始まる恋もある】
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「困るよ〜みっちゃん」
宮廷、オオトシの執務室。
オオトシは息子のミトシに、何度目か判らない電話を掛けていた。
「キノカを返してよ〜」
泣きそうな声で懇願するが、ミトシは「ダメだ」の一点張り。
「僕がチカに殺されても良いの!?」
『……チカ?誰だそれ』
「キノカの母親だよ〜」
『母親!?母親が居るのか!?』
「僕ひとりじゃキノカは産めないよ」
『そうじゃなくて。母親は生きてるのか?』
ミトシはキノカの母親を、死んだものだと勝手に思い込んでいたらしい。
「キノカは母親について、何も言ってないの?」
『聞いてない』
「みっちゃんが本当にキノカを育てたいなら、自分でチカの許可をもらってよね」
『え……俺が?オヤジの愛人に頭下げるのか?』
嫌そうなミトシの声。
しかしオオトシは屈しない。
「今からチカの住所を言うから。メモして」
オオトシの言う通りに、ミトシがメモをした住所。
そこにたどり着いたミトシは、目を疑った。
「……刑務所?」
高い塀に囲まれた堅牢な建物は、確かに刑務所だ。
ミトシは立ち尽くす。
キノカの母親は犯罪者。
ミトシは警察官。
相容れるはずがない。
目の前の塀以上に高い障害だ。
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