ハリポタ夢
□君が邪魔で空が見えない
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「あれ、何これ」
庭で本を読んでいたらいつの間にか隣に白イタチが座っていた。毛並みさらさらの綺麗なイタチで、落ち着きなく私の脚を叩いてる。私は本を置くと暴れ回ってる白イタチを抱き上げた
「どうしたの?」
落ち着きのない白イタチは私の手の中でばたばた暴れた。キーキーと何か伝えたいのか必死で私に向かって鳴いてる、小さな目はまっすぐ私を見ていて、吸い込まれそうなほど青い。あれ、私…この目を見たことある気がする
「……あ、」
(ドラコだ)
ぼそりと呟く。青くて、まっすぐ私を見る目が、ドラコそっくり。それに私を叱るキーキーとうるさい感じ。さらさらの毛。私はにこりと白イタチに笑いかけるとびくっと震えて大人しくなった
「……そんなに私の笑顔って怖いの」
ちょっとショックで白イタチを恨めしげに見つめる。でもそれ以上私と目を合わせてくれなくて、私の手から擦り抜けようともがきはじめた。誰のペットなんだろう、見たことないけど。ていうかしつけがなってないな
「あーもう暴れないでよ、どうせ行くとこないんでしょ!」
押さえ付けようと無理矢理抱きしめるとキーキーと激しく鳴き始めた。何、どうしたら大人しくなるのこいつ!もぞもぞと暴れられてくすぐったくて目から生理的な涙が出る。くすぐったくてたまらなくて、私は芝生の上にねっころがるとその白イタチを高々と上に上げた
「大人しくしようね、いい子だから」
そう言ってもまだ私の手の中で手足をばたばたさせて暴れてる。ちょ、か、かか可愛いな!まあるいくりくりした青い目で私を見つめている。…ドラコもこれくらい可愛いげあったらなあ、日頃の怒りや不満がふつふつ沸いて来る
「…いつも憎まれ口ばっか叩いてさ、やたらとパーキンソンと一緒にいるし……、っていうか結構ドラコって来るもの拒まずだよね、パーキンソンはドラコべた褒めするから一緒にいて気分がいいんだろうけど。でもさ、彼女がいるんだからちょっとくらい気をつけろよ、もうちょっと気をつかってよ、ねえ、そう思わない!」
感情が高ぶって白イタチをがくがく揺さぶっていたことに気付いて慌てて手を止める。平謝りしながらそっと覗き込むと目がとろんとしてた、ああ可愛いなあ
「……君はいいね、可愛くて」
(私なんか、こうやって嫉妬して、でも言えなくて陰口たたいて……かわいくない。わかってるけど、でも、)
また白イタチがばたばた暴れて鳴きだしたのではっとして我にかえった。懸命に手足をばたつかせてる姿に頬が緩んで、白イタチを近づけてほお擦りした。真っ白でふさふさな毛並みが気持ちいい
「君は可愛いから素敵な彼氏いるんだろーね。いいなあ、紹介しろこのやろっ」
すこしおどけて言いながら鼻に擦り寄せて、キスをした。その瞬間ぼんっと大きな音が鳴って何かが爆発した
(な、何これ何にも見えないっ…!)
目の前は白い煙で包まれていつの間にか手には白イタチの感触がなくて、周りをを見渡した。…いない、というか煙でぼやけて…
「っわ……!」
いきなり煙の中から腕がにゅっと伸びて来て私の頭を挟んでどん、っと芝生に手をついた。何がなんだかわからなくてその場に凍りついてると、煙が徐々に晴れて来て視界が開けてきた。目の前にぼやぼやと人影がうつる
「………っ、うわっ!」
「……人の顔見てうわとはなんだよ失礼だな」
「だ、だだだって…何で……!」
「この状況見て察しろよ馬鹿」
「え、……は?」
煙が完全に晴れて視界がはっきりとする。目の前にはドラコのドアップ、顔の両側にはドラコが手をついてて、私が仰向けで寝ている上にドラコが四つん這いに覆いかぶさってる……覆いかぶさって……
「ひ、ひあああ!な、何して…!」
「だから察しろ」
「さ、ささ察しろってね…!ドラコが私を押し倒して……っ!」
「ちが……!ちゃんと考えろ!」
「ちゃ、ちゃんとって……つ、まりイタチがドラコでドラコがイタチで……って、え?」
「…………」
「…………」
「……………」
「…ひ、ひひひどい!わ、私ドラコが動物もどきだなんて知らなかった!」
「ばっ…、僕だって好きでイタチになってたわけじゃないに決まってるだろ!」
「何よどうせイタチになって私をからかってたんでしょ、動物に話しかける痛い子だって……!性格悪…!」
「ちが…っ、僕はあのムーディーって奴に魔法をかけられてだな…!」
「……へ?」
「だから僕はお前に助けを求めただろ、なのにお前が勝手に語り出して…それで、その……まあ、お前のおかげで魔法が溶けたことに変わりはないが、その…」
ドラコの声が小さくなるにつれ顔が真っ赤になって口を手の甲で隠した。最初その行動が意味不明で睨み付けていたが執拗にドラコが口を押さえてるのを見てはっとなって自分の口を押さえた。怒りと恥ずかしさがわなわなと込み上げてくる
「っ…ドラコのすけべ!最ッ低!」
「な、何でそうなるんだよ大体お前が勝手に…!」
「勝手にってそのおかげで元に戻れたんじゃない!ドラコって分かってたらしなかったし…何てことさせんのよ!」
「じゃあ僕があのイタチのままで良かったっていうのか!」
「……べ、別に私じゃなくてもいるじゃん…パーキンソンとか…っ!」
「…お前、それ本気で言ってるのか」
「な、何、いきなり…」
「とぼけるなよ」
「っ……ちょ、痛いドラコ離してよ…っ」
いきなりドラコの目の色が変わって力任せに私の腕を掴んできた。ぎりぎりと締め付けられる腕が痛くて涙が零れそうになる。今まで見たこともない冷たい青い目で私の目を見つめて来て、怖いのに目を反らせないでいた
「お前は…お前は僕がパーキンソンとキスしてもいいって言うのか」
「っ…ご、ごめんって、離してドラコ!」
「いやだ」
「いっ…痛いから…!何でそんな怒って…っ」
「…お前、何でそんな鈍いんだよ」
そう言ってぐっとドラコの顔が近づいて、唇を強引に奪われた。唇を押し付けられて息が出来なくて、目が虚ろになって涙が出る。無理矢理キスしてるくせにドラコは目を固く閉じて眉間にしわを寄せている。何で、そんな顔するの
「っ……」
「……っ、何で分からないんだお前は」
唇が離れて至近距離で見つめられる。ドラコの青い目が一瞬震えて、目が離せなくなる。いつの間にか腕の痛みも忘れてドラコに魅入っていた
「僕は、好きな奴としかキスしない」
その言葉が耳にじんじん響く。綺麗な宝石みたいな目に見つめられたまま動けない私の両頬に触れて、ドラコの顔が傾いて、また唇を奪われた。さっきとは全然違うキスで、離れては角度をかえてキスされて、最後に少し上唇をついばまれて、ゆっくり離れていく。あんな乱暴なキスの後にこんな溶けそうなキスの仕方、反則だと思うけど言葉にならない。ドラコが私の髪に触れて目を細めてキスをしたまま視線を送ってくる。そんな仕種だけでどきっとする
「…分かったか」
「ご、………ごめん、なさい」
「だから新しい彼氏なんか紹介してやらないからな」
「(根に持つタイプだな…)わ、分かってるよ!それに、いらないし…」
「……顔真っ赤だぞ」
「う、っるさい、…は、早くどいてよ!」
「断る」
「は……っ…」
「…次、授業サボるぞ」
「へ……、ちょ、冗談やめてよ…っ!」
「……冗談じゃないって言ったらどうする?(こんなおいしい体勢逃してたまるか)」
君が邪魔で空が見えない
(っあ、ど、ドラコ!)
(なんだよそんな顔したって、)
(後ろにムーディー先生!)
おわり
(そしてもう一発食らわされます)