ハリポタ夢

□レスキュー・マイハート!
1ページ/1ページ








「はあ…夏休みか」


「何だ、浮かない顔だな」





帰省の汽車に乗って過ぎ去って行く景色をぼーっと見つめた。向かい側に座っていたドラコはため息をついた私に少し眉を潜める。それも気にせずに私は二回目のため息をついた。そんな私を見てドラコは読んでいた本を閉じる。





「夏休みがそんなに嫌か」

「え、うん…嫌っていうか…」

「何だよはっきり言え」

「嫌じゃないけどさ、長いよね夏休み」

「ああお前常に暇人だからな」

「そうだよね、ドラコと話してるってことは暇人だよね」

「黙れ」



「……そうじゃなくてさ、私だって夏休みやることはあるよ!友達と海とか夏祭りとか花火大会とか行ったりするし」

「なんだお前、なんだかんだ言って夏休み満喫する気満々じゃないか」

「そうだけどさ、なんかなー……」

「なんだよ」

「私の家はマグルの世界にあって魔法使えないから時々無償に魔法使いたくなるんだよね」

「ふーん、そういうもんか」


「……それになんか恋しくなるしさ」

「何がだよ」

「…そりゃあ、いろいろと」

「だからはっきり言えよ」

「ホグワーツとかホグワーツでの友達とか先生とか……あと」

「あと、何だ」

「……べ、別に!」







ドラコがずいっと覗き込んできたので私は慌てて目をそらしてまた窓の外の景色に視線をうつした。………察しろよばかドラコ。



「………………」






少し赤くなっていた頬が落ち着いて、再びドラコと向き合う。ドラコは時計を見ると少し立ち上がって窓の外を眺めた。





「何、どうしたの?」


「あ、いや…そろそろ降りるな、僕」

「へ…もうそんなとこまで来た!?」

「あと10分で着くな」

「ふーんそっか…じゃあねドラコ」

「……お前な、」

「………なに」

「なんだよその寂しそうな顔」

「は…、し、してないし何言って…!」

「してないならいいけどな」



「……………」


「……………」



「………してなくは、ない」


「ふん」








鼻で笑われたのが悔しくて少し頬を膨らましながらドラコを恨めしげに睨む。ドラコはというと目を細めて口元があがってる。お決まりの意地悪な笑みだ。かーっと私の顔が赤くなる。




(ほら、そんな顔されるから言いたくなかったのに……!)





「何拗ねてるんだよ」

「別に!ドラコって意地悪いよね」

「その意地悪い僕が恋しいのはどこのどいつだよ」

「なっ……!(最初っから分かっててからかってたんだちくしょう…!)」


「……あ、着いたな」

「っ、あっそう!ばいばいドラコ!」

「何だお前降りないのか」

「…は、だって私はいつもあと2つ乗って…」

「夏休み、僕の家で過ごせばいいだろ」

「え、」

「嫌ならいいんだぞ別に」

「い、嫌なんて言ってないし!」

「なら来ればいいだろ」

「で…でもほら、いきなり行ったらドラコのお父様とお母様が…!」

「父上と母上にはもう言ってある」

「……は、」

「うるさいな、もう言ってあるんだよ」





そう言うと自分の荷物を下ろしてずんずんと行ってしまった。しばらく立ち尽くしてぼーっとしてたけど、はっとなって慌てて荷物を持って汽車を降りた。周りをきょろきょろすると前方に足速に歩くドラコを発見して急いで走って追いかける。




「ま、待ってよ!」

「……ついてくるなよ」

「ドラコが誘ってくれたくせに」

「…………なよ、」

「は、」

「…か、勘違いするなよ、僕はお前が寂しがるだろうから前もって父上と母上に言っておいたんであってだな、別に僕が…!」

「あははっ」

「な、何笑ってるんだよ、お前、僕に喧嘩売ってるのか…!」

「分かってるよ、ありがとう」


「……分かってれば、いいんだ」







そう言って少し前を歩くドラコを見上げると、ドラコは耳まで真っ赤になってたから自然と私の顔がほころぶ。少し後ろを見たドラコがそんな私を見て「笑うな」と頭を押さえ付けた。ごめんドラコ、私しばらくにやけが止まらないかもしれない。









レスキュー・マイハート!

(やばいな、どうしてこの人はこんなに私のツボを押さえてくるんだろう…!)

(……変な奴)








おわり


(ツンデレって兵器ですよね)




[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ