みじかいの
□なさけはひとのためならず
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夕暮れの教室。
放課後ともなると昼間の騒がしさは消え、俺達二人の声がやけに響く。
「それでね、土方ってばヒドイんだよ!」
「今度は何したの、土方さん」
「他のクラスの女子とメアド交換したの!」
「あちゃー…」
俺は彼女の駆け込み寺だ。
彼女は恋人である土方さんと何かあると俺に相談しに来る。
「あー、山崎に話したらすっきりしたー」
「それは良かった」
「いつもごめんね、相談乗ってもらっちゃって」
「大丈夫、気にしないで」
だって、
よくこう言うでしょう?
なさけはひとのためならず
(いつか君はきっと俺を好きになる)
*情けは人のためならず*
情けをかけておけばよい報いが返ってくるということ
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