読書

□カスミソウ
1ページ/1ページ

叶うはずだった恋…。なのに彼と出会ってしまった時代が悪かった。



「琴音様!!」

私が庭に出て雪景色を眺めて居ると愛おしい人の声が後方から聞こえた。

「龍海(たつみ)♪どうしたの?」


愛おしい人の声に呼ばれ、私は振り向く。

龍海は私が幼い頃から私の守護者を勤めていて、とても強い力を持っている。
だから人々は彼を恐れ、守る時以外は私から1m以上放れながら護衛するという法律を創った。

その法律は私が20歳の誕生日に無くなったが、それなのに龍海はまだ時々1m以上私に近付かない時がある。


「“どうしたの?”ではありません!護る者たちが琴音様を探しておられます。」


「大丈夫よ!今は争いなんて無いし、屋敷の外には出ていないもの。」


「ですが、もしも狙われ攻撃されても近くに居て下さらなければ我等もお守りする事が出来ません。」

龍海は本当に心配しているのか涙を少し浮かべていた。
龍海は私より3歳年上で今は24歳。そんな大人な彼が私の為に泣きそうになっている。
彼は本当に心優しく、きっとこんな龍海の事を恐れ、遠ざけている国の為にでも命を賭けて守ろうとするのだろう…。
だから国を守る為に居る神子…私の事も命懸けで守ってくれる。

「ごめんなさい…。次からはちゃんと護衛を連れて行動する。」

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ