読書

□Best Friend
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今から話す話しは俺にとって今でも1番悲しく、大切な思い出…。

中学生だった頃の俺は毎日と言っていい程病院へと通っていた。

「珪は運命を変える事が出来ると思う?」

そういきなり言って来たのは俺の親友である立華翔だった。

「なんだよ!いきなり。」

俺はいきなり変な事を言って来た翔に笑ってしまった…。けれどそれは間違いだったんだ。

「そうだね…。いきなりごめん。」

今にも泣きそうな顔で言って来て、俺は焦った…。

「大丈夫だ。…変えようと頑張れば変えれるって!!」

俺が微笑んで言うと翔も微笑んでくれた。俺は一安心し、翔の笑顔を見ていた。

「うん!!僕、珪と外で遊ぶ為に変えれるように頑張るね!!!」

……そう。翔は今の医療技術では治す事が出来ない病気、エイズにかかっている。それでも諦めずに翔は闘っている…自分の運命と。
だから運命を変えてもらわなくては困る…。

「あぁ!!翔が外で遊べるようになったら俺の素晴らしいドリブルシュートを見せてやるよ♪」

笑って言ってみせるが、翔は知っている…俺がバスケが上手く無い事を。
翔と初めて会ったのは俺がバスケで骨折してしまいこの病院で診てもらったからなんだ。その時に上手く無い事がバレてる。

「うん!また珪が骨折しないように見といてあげるね♪」

「こらこら!!」

そう俺がいい終わると俺と翔は同時に笑った。翔は控え目に、俺は豪快に…。そして俺は看護士に怒られた。そんな俺を見て翔はまた笑った。
翔と居ると時間の進みがとても早く感じてしまう。もう18時になっていて外は暗かった。

「やばっ!!悪い!珪。俺もう帰るな!」

親には19時には帰ると言ってあるし、あまり長居しては珪の身体に障る…。

「うん…。もう暗いから気を付けて帰ってね♪」

「男だから大丈夫だって!!……そうだ!珪、俺明日から学校に遅くまで残らないといけないんだ。だから来るの遅くなるけど、必ず来るから寝るなよ。」

「…うん。必ず来てね!」

珪は一瞬悲しそうな顔をしてからそれが嘘だと思えるような笑顔を見せて言った…。だが俺は、その一瞬見せた顔を嘘だとは思えなかった。

「本当に寝ずに待ってろよ。」

不安になりもう一度確かめるように同じ言葉を言った。

「うん!」

翔の返事に安心をし、俺は病室を出た。
次の日、俺は中学三年になって初の補習を受けた。
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