H×Q

□クロロが叫ぶ話
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クロロ=ルシルフル。高校二年生と書いて青春真っ盛りである。青春、あぁなんていい響きなんだろうか。ここまで胸が躍る言葉はそう無いと思う。若者達が悩み、競い、苦しみながらも楽しい毎日を過ごす。一生で今しかないそう、只今俺は絶賛ブルースプリングである訳だ。

「だあああマジ青春とかなんですかそれええええええ」
「おちつきなよ」

事の発端は過ぎ去ったバレンタインデーにあったりする。小さいことさ、俺は貰えなかったんだ、一つも。で、目の前の万年モテ男が何十個も貰ったって話なんだが。
「世の中は不平等すぎる。なぜこんなにチョコを欲している俺は貰えずにこの金髪が貰えるんだ!!」
「それは…やっぱり顔の差じゃない?」
「その高い鼻へこましてやろうか」
俺が怒りに拳を握り震えさせるとヒソカはニコニコと爽やかな笑みを浮かべた。だがコイツの言っていることは悔しいが事実だ。コイツの顔のつくりは明らかに他とは違う。骨の形とか、目の色とか、とにかく芸能人をも超えるその端正な顔立ちでニコリと女子に微笑めばたちまち虜にもなるだろうな、そりゃ。
「というか、僕バレンタインにプリンあげたじゃないか」
「男からのは数にはいらん」
男からバレンタインになんか貰ったのなんか数に入れる訳ないだろ。まじ常識考えやがれクソが。まぁ美味かったけど。
「どうせお前とは違ってモテねえよ俺は」
別にいいさ。モテなくても生きて行くよ俺は。強く生きるよ、今に見てやがれ、お前より長生きしてやるからな。とか考えてたらヒソカはあっけらかんと俺に向かって耳を疑うような事を言ってきた。
「…って言うか、好きな子が見てくれなかったら顔が良くても意味無いしね」
これぞイケメンの言うセリフ。言ってみたいわこんなセリフ、カッコイイなクソ。というかまて、好きな子ってなんだ、詳しく聞かせやがれ。
「好きな子って、お前好きな奴いるのか?」
あ、今あからさまにシマッタ、って顔したな。ヒソカは表情が読みにくいけど今回は良く分かった。あんまり知って欲しくなかったのか?まぁ、触れて欲しくないならあんまり言わないけど。
「うん、居るよ。一応」
「そっか」
へー、そうだよな。コイツも男だし、ましてや今はブルースプリングだもんな。それにコイツ男前だしそこら辺の女が放っておく訳ないか。
「どこまで聞いていい?」
「答えたくなかったら答えないから良いよ」
どこのクラス、身長は、胸は、顔は、髪の長さは、得意科目は、部活とかは、いろいろ浮かんだけど一番最初に口に出たのは、
「その人の事、どれくらい好き?」
ヒソカが自分から人を好きになるのはなんだか珍しい気がした。今まで付き合ってきている人も俺の知っている限り全部向こうからだ。そんなヒソカが自分から好きになったんだ、今どれくらいその人の事を思っているのか、少し気になった。
ヒソカはしばらく考えてから
「今まで会った人の中で、一番」
と、恥かしげもなく答えていた。
青春真っ盛りの俺は、続きの言葉が出なかった。なぜかというと俺には恋愛経験がないから、アドバイスも気の聞いた言葉も浮かばなかったからだ。
「でも、誰?とか可愛いの?とか聞かれると思った」
「え?いや、特に意味は無いよ。ただお前が惚れるのって珍しいなと思っただけ」
「…そうだね、僕もそう思う」
ヒソカはそういうと少し困った顔をした。俺が言葉をだそうと息を吸った瞬間本令のチャイムがなり、扉が開き教師が入ってくる。すると委員長の号令で皆が立ち上がる。何時もと変わらない、青春の日常だ。

友人に好きな人が居るらしい。誰かは知らんがきっと美人なんだろう。それで学園祭のお似合いカップルとか言ってもてはやされるんだろうな。彼も青春してるのに俺とときたら。
そんな俺と後ろの金髪の間に、またいろいろあるんだろうけど今はとりあえず授業眠いから寝る。

授業開始3分。クロロ=ルシルフル、睡眠


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