short
□かすてぃら
1ページ/3ページ
かすてぃら
いつも通りの昼下がり。
「薫殿〜。」
愛しい人の名前を呼ぶ。
なんの他愛もないことでも幸せを感じる…。
しかし、返事がない。
今日は出稽古もない、弥彦も赤べこの手伝いでまるっきりいない。
だから……、部屋にでも居るだろうと思って薫殿の部屋の前まで来たが……。
応答がない。
「薫殿ー。」
もう一度呼ぶ。
すると、
バッ!!
と襖が開いた。勢いよく。薫殿は驚いた顔をしている。こっちまで驚いてしまった。
「ど、どうしたの?剣心?」
「いやぁ、小腹がすく頃合いかと思って声をかけたでござるよ。」
「あー…。確かに。小腹が…。」
と言いながらお腹をさする。
「かすてぃらがあるでござるから、一緒に食べよう?」
「えぇ。」
少し顔を朱色に染めて微笑む。
なんと可愛らしいんだろう。
.