short

□かすてぃら
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かすてぃら



いつも通りの昼下がり。


「薫殿〜。」

愛しい人の名前を呼ぶ。
なんの他愛もないことでも幸せを感じる…。



しかし、返事がない。

今日は出稽古もない、弥彦も赤べこの手伝いでまるっきりいない。
だから……、部屋にでも居るだろうと思って薫殿の部屋の前まで来たが……。


応答がない。


「薫殿ー。」

もう一度呼ぶ。
すると、

バッ!!

と襖が開いた。勢いよく。薫殿は驚いた顔をしている。こっちまで驚いてしまった。

「ど、どうしたの?剣心?」

「いやぁ、小腹がすく頃合いかと思って声をかけたでござるよ。」


「あー…。確かに。小腹が…。」

と言いながらお腹をさする。

「かすてぃらがあるでござるから、一緒に食べよう?」

「えぇ。」

少し顔を朱色に染めて微笑む。
なんと可愛らしいんだろう。



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