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□奪われますよ。
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奪われますよ。




「あの、これ!!!」


とある日のこと。

いつも通りに弥彦の稽古を終えて、久々に赤べこに食べに行こう!!
となって、三人が目的地の赤べこへ向かう途中…。


顔が整っている、青年が薫に何かを渡してきた。


「え、あの…。」

いきなりのことで戸惑っている薫に弥彦は…、

「なんでぇ、恋文かなんかか?やめとけよ、薫なんかより他にいいやつが山ほど…「やぁひぃこぉ〜?!」」

「おぉ、こぇー。付き合ってられねぇよ。んじゃ、剣心と先にいってら!行こうぜ!剣心!!」

「……。」

「剣心?」

「……!あぁ、行こう。」

薫達の方を見ていて、反応しなかった剣心を見た弥彦は珍しいと思っていた。

「ちょ、ちょっとー!!」

薫の叫びは虚しく終わる。

「あの、これ…あの少年が言っていたように、恋文なんです…。よかったら返事を…」

「ごめんなさい…。」

「え。」

「気持ちは嬉しいけど…私、貴方の気持ちには応えられないわ…本当にごめんなさい。ありがとう。」


――――
――――――
―――――――――


先に赤べこに着いた剣心達。

「あら、剣心はん、どうしたん?浮かない顔しはって。」

「いやぁ、妙殿。なんでもないでござるよ。」

「なんでもなくねーだろ剣心。さっきくる途中……」

弥彦が妙に先程の事を話す。

「あぁ、せやから薫ちゃん今、居ないんやね。通りで剣心はん浮かない顔しとるわけやわぁ。」

「別にそういう訳ではござらんよ。」

眉を八の字にする剣心。

「剣心はん、薫ちゃんにちゃんと気持ち伝えへんとそういう輩に薫ちゃん、奪われますよ?」


この言葉がグサッと剣心の心をつく。


そんなハッキリ言われても…拙者、薫殿と……なんて思ってないでござるが…。


「剣心はん、薫ちゃんが他の男と一緒に歩いてたらどう思いますん?」

「そ、それは…。」

薫殿が他の男と一緒?

弥彦はまだいいとして…左之が隣でも嫌でござるな。ましてや、先程の男だと更に嫌でござる。


「……。」

「ほら、嫌なんとちゃいます?素直にならんと本当に奪われますよ?…もしかしたら、さっきの人に…」

「拙者、薫殿を迎えに行ってくるでござる。」

席を素早くたった剣心。

「弥彦、先に食べてていいでござるよ。」

そう言い残して赤べこを後にした。


「素直にならんと!…弥彦君も!」

「え…。」


なんだかんだ恐ろしい妙さんでした。




fin.


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