よんアザ短編
□おまけ
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―――知らなかった。
今、膝の上で寝ている名前を、
芥辺はそっと見下ろした。
常に拒み、拒絶し、怯え、遠ざかっていた。
そんな存在だと、思っていた。
“そういうもの”なのだと。
なのに
名前―――
芥辺は未だに、信じられないでいた。
“そういうもの”だと思っていた筈の存在が今、
怯える事も拒む事も無く、寝息を立てている。
芥辺はそのやわらかそうな髪へ
己の指を絡める。
絹の様に滑らかなそれは、やんわりと巻き付き、風に解ける。
“そういうもの”だと思っていた筈の存在が今、
芥辺の膝で眠り、落ち着いて、凭れ掛かり
さらに―――小さな手で、芥辺にしがみ付いている。
暖かな体温は、心地良い。
「……、」
途端に、芥辺は身が硬直した。
味わったことのない感覚。
己の身体が、思い通りに動かず、更には胸が絞められるような感覚。
得体の知れない、感覚。
「……チッ。」
芥辺はぎこちなく窓の外に視線を投げながら、少し舌打ちをした。
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デレのターン来るか!?
ついにデレのターン来るか!?
ということで、『夜明けの音』でした。
余りに可哀想な虚弱悪魔ちゃん。そろそろ幸せに近付いても良いのではないか!?と思ったら完成していました。あくまで“幸せになる”のではなく“近付く”という、ね(笑)。ここまで読んで下さってありがとうございます。
そして個人的に
幼女に(実質)振り回される芥辺さんが見たi(自重
虚弱悪魔、ここから先はまた別のお話です。