*BL*
□1月25日 晴れ
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「お前、甘臭いぞ」
「え?マジで?」
大した事でもないのに思い切り不機嫌そうに眉間に皺を寄せて、わざわざ肩へ鼻を近付けるサスケ。
潔癖症で完璧主義のお坊ちゃんには「任務前からそんな匂いプンプンさせやがって」と気に入らない事この上ないらしい。
「や、何かわかんねーけど先生が朝からケーキ焼いててさぁ〜」
「カカシが・・・ケーキ・・・」
眉間の皺を一層深くしながら、余計な情報を教えてくれるなと言いたげに舌打ち。
お前にはわかんねぇの、あの人の良さが!と叫んだ俺に「分かりたくねぇ」とゲンナリした顔しやがった。
いいのいいの。俺が分かってれば。
「・・・で?何でケーキなんだ?」
「それが分かんねーんだよなぁ〜」
「聞かなかったのか?」
「聞こうと思ったら家出る時間だったから聞きそびれちまった」
ここんとこ平和も平和な木ノ葉では、Cランクの引越し手伝い任務にルーキー上忍2名が宛がわれるという大盤振る舞い中だ。
そうは言ってもそこはただの引越しじゃなく、重要文化財級のお宝がゴロゴロしている大名屋敷の引越し。
丁寧迅速な上に警備いらずの安全性は忍にしか務まらない。
「まさかアレか・・・?記念日とか・・・」
「それがよ〜、思い当たんねーんだよなぁ」
自分で言ってから「気持ち悪ぃ」と青い顔をしたサスケに追い討ちみたいに「初めてやった日じゃねぇし、付き合い始めた日でもねぇし・・・」と言ってやると青い顔を更に青くして「そういうのは心の中で呟きやがれ!」と怒鳴られた。
「ってゆーか、先生って甘いモン嫌いじゃん?」
「・・・んな事は知らねぇ」
「俺の誕生日だって、ケーキ買って来てくれるけどほとんど俺が食うんだよ」
「・・・」
「そもそも先生がケーキ焼いてるとこなんて初めて見たし」
「男がケーキ焼くとこなんざ頼まれても見たくねぇな」
「バーカ。可愛いんだぞ!あれって何つーの?もこもこした手袋みたいなのはめて・・・」
「・・・やめろ。聞きたくない」
ポケットに突っ込んでいた両手で耳を塞いだサスケを見ながら、「まあ帰ったら聞けばいいや」と独りごちた。