*BL*

□1月25日 晴れ
2ページ/7ページ

 
 
 
「お前、甘臭いぞ」

「え?マジで?」


大した事でもないのに思い切り不機嫌そうに眉間に皺を寄せて、わざわざ肩へ鼻を近付けるサスケ。

潔癖症で完璧主義のお坊ちゃんには「任務前からそんな匂いプンプンさせやがって」と気に入らない事この上ないらしい。


「や、何かわかんねーけど先生が朝からケーキ焼いててさぁ〜」

「カカシが・・・ケーキ・・・」


眉間の皺を一層深くしながら、余計な情報を教えてくれるなと言いたげに舌打ち。

お前にはわかんねぇの、あの人の良さが!と叫んだ俺に「分かりたくねぇ」とゲンナリした顔しやがった。

いいのいいの。俺が分かってれば。


「・・・で?何でケーキなんだ?」

「それが分かんねーんだよなぁ〜」

「聞かなかったのか?」

「聞こうと思ったら家出る時間だったから聞きそびれちまった」


ここんとこ平和も平和な木ノ葉では、Cランクの引越し手伝い任務にルーキー上忍2名が宛がわれるという大盤振る舞い中だ。

そうは言ってもそこはただの引越しじゃなく、重要文化財級のお宝がゴロゴロしている大名屋敷の引越し。

丁寧迅速な上に警備いらずの安全性は忍にしか務まらない。


「まさかアレか・・・?記念日とか・・・」

「それがよ〜、思い当たんねーんだよなぁ」


自分で言ってから「気持ち悪ぃ」と青い顔をしたサスケに追い討ちみたいに「初めてやった日じゃねぇし、付き合い始めた日でもねぇし・・・」と言ってやると青い顔を更に青くして「そういうのは心の中で呟きやがれ!」と怒鳴られた。


「ってゆーか、先生って甘いモン嫌いじゃん?」

「・・・んな事は知らねぇ」

「俺の誕生日だって、ケーキ買って来てくれるけどほとんど俺が食うんだよ」

「・・・」

「そもそも先生がケーキ焼いてるとこなんて初めて見たし」

「男がケーキ焼くとこなんざ頼まれても見たくねぇな」

「バーカ。可愛いんだぞ!あれって何つーの?もこもこした手袋みたいなのはめて・・・」

「・・・やめろ。聞きたくない」


ポケットに突っ込んでいた両手で耳を塞いだサスケを見ながら、「まあ帰ったら聞けばいいや」と独りごちた。
 
 
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ