*BL*

□僕は 息をするように 君を
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それでそうして




今まさに目の前で愛を口走ったこいつを一体どうしてやろうか、と俺は考えていた


「好き、だ」と言ってから自分の口を慌てて覆ったりする若さは酷くいじらしいけれど…

容赦しないよ?

俺はこういう物に対してきっと、こうありたいと望む自分から掛け離れてストイックなんだと思う

馬鹿馬鹿しいというスタンスは盾であり矛だ。自分も守れるし相手を傷付けることも出来る



「うん。俺も好きだよ」

「……」



逃げる振りをして追い込む。この手法はずっと昔あの人に教えられた

お前の性格じゃあこんな返事で満足、しないよね?



「先生…!俺は…そういうんじゃなくて…」

「うん」



踏み込ませない笑顔を浮かべる俺を、どうする?いくらお前が飛ぶ鳥も落とす勢いの若さに突き動かされているのだとしてもこの壁を感じないほど鈍くはないでしょ?

俺は知っている。鈍くないどころか人の気持ちの動きを敏感に感じ取りすぎてしまうからそうしておどけて、笑って、隠して

気付かないフリをしてやり過ごして、皆に背中を向けてからこっそりと悲しい目をするんだって



「……」

「…何?」



じっと見詰め続ける瞳に、浮かんでは消える炎



そういえば『炎っていうのは温度で色が違うんだって』と、珍しく頭の良さそうな事を言った人がいたなぁ

赤く燃える炎は激しく見えるけれどその割温度は一番低い。青は赤よりずっと高くて


『だから君から見える僕の瞳は青いんだよ』


なんて結局バカみたいなセリフでオチを付けた

(誰から見てもそれは当然青かったのだ)



今、目の前で揺らめく瞳は本当にそんなにも高い温度を持っているのだろうか。触れてみたなら冷たいと錯覚してしまいそうな温度を



「…俺は、先生が…好き。なんだ…」

「…うん。だから俺も、だよ?」



噛み締める様にゆっくりと刻んだ言葉は、いい線いってた、うん。


それならきっと里の女の子はイチコロだろうねぇ


だけどさ、ナルト。俺はそんな言葉に自分の全てを託してしまえる若さも盲目さももう失くしてしまったんだ。いや年齢的なものじゃなくて、それに身を委ねて痛い目をみるのはもう懲り懲り



青い炎がゆらゆら揺れて



いつの間にか俺よりも幾分筋肉のついた肩がスローモーションの速さで力なく下がった


お前ねぇ。俺に、好きだなんて言う癖に…たった2回口にしただけでその落ち込み様?

いつもの元気はどこに行ったのよ?そんな根性で、この俺に。よくもまあ好きだなんて口走ったもんだよ

あんまりがっかりさせないでくれよな



「俺は馬鹿だから…」

「……」

「先生を納得させたり信用させたり俺に惚れさせる言葉なんて思いつかねぇ」

「……」

「でもさ、だったら…俺に出来る事で勝負するしかねぇよな〜」

「……」

「好きなんだ。本当に。俺は…カカシ先生が」

「…うん」



こっちが居た堪れなくなるような顔で見上げる

 
 
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