*BL*

□sugar sugar
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「あまーーーい!」

「……」



どっかの芸人みたいなリアクションでハムスターの様に膨らんだ頬へ手を当てている

色とりどりの丸が山積みのナルトの皿と、茶色と黒が申し訳程度にふたつ並んだ俺の皿


それにしても任務の後だろうが前だろうが濃ゆかろうが甘かろうが何でも受け付ける強靭な胃袋が少し羨ましい



「あまっ!うまっ!」

「…すごい零してるけど…」



二口で食べられてしまったドーナツは辛うじて粉砂糖をナルトの口元へ残し、そこに確かに存在していたんだとの主張をしていた



「え?どこ?」

「いや、どこって…そこら中」

「どこ!?」

「……」



きゅるんと目を開いてワクワクしてきたぞ!なんて顔でこっちを見やがる


わざとだな、このやろう



「…ここ。」

「えー?わかんなぁーい」

「………」



あーやだやだ。絶対コイツこういう事すると思ったんだ


俺が望む様な落ち着いた付かず離れずの関係なんて絶対に無理だって判ってたけどさァ


こういうのはほんっと止めて欲しい。



「…あのさ、周りに人がいるの見えてる?」

「見えない!俺ってば先生しか見えないの!」

「…」

「ああああ、カブれちゃう!早くとって!痒くなる!」

「……」



顎を突き出しザラザラした砂糖の粒が見える距離で「ん。」と催促


取れ…と。俺にその砂糖を取れと。そういう事だよなぁ…



「あのな…」

「先生、痛痒くなってきたってば」

「…」



こういう時のコイツを不本意ながら良く知っている


目的達成の為なら手段は選ばず、がむしゃらに一直線な猪突猛進型

長引かせて皆様の注目を集めるくらいならサッと取って終わらせた方がきっと俺自身の為だ



「…」

「…あ。そこ?そこについてた?」



指先で軽く撫でた顎の上で、短い髭にくっ付いていた砂糖がぴょんぴょん跳ねた

やたらな方向へ飛んで行くザラメが俺の顔にまで跳ね返ってくる


…なんか泣きたくなってきた
 
 
 
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