*BL*

□例えば
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「…好き。だってば」
「うん、知ってる」

ペラ…っと紙を捲る音を大袈裟に立てるトコも可愛い。

聞いてない。気にならない。大した事じゃない。

そうして自分を守ってるんだろ?俺にはその技通用しないぜ?

「先生も?」
「…そうだといいねー」
「照れるなよ」
「生意気言うとこうだ」
「…イテッ」

ごとん。と即頭部が床とキス。どうせならもっと甘いのをくれってばよ!

拗ねたフリして身動ぎもせず磨き抜かれた床をしばらく見詰めていればそっと空気が動いた。

「…まーた拗ねてる」
「俺だってたまには拗ねますー」
「ほんっといつまで経っても子供だねぇ」
「……」

どっちが!…なーんて言ったら先生の立場がねぇから言わない。俺ってばオトナ!

代わりに伸ばした指先で足首をそっとなぞりながら「よーし今日はツーリングだー」と呟いてみた。

「……」
「ブゥンブゥン。絶好調〜」
「……」
「まずは山越えだー峠攻めるぜー」
「…くすぐったいよ」
「エンジン全開〜うおおお〜風が気持ちいいー」

低い低い位置からゆっくり這い上がる指をチラッと横目で見てから
まったく。とでも言いたげにエロ本に目を戻した。その流し目っぽい表情いいね〜。そそる。

思わずにやにやと緩みそうな口元を必死で堪えながら、毛の薄い脛を指先バイクで疾走!

「ブロロロ…」
「……」
「おーっと!うずまき君、コーナーに鋭角で切り込んだー」
「……」

薄肌を引っ掻く様にS字を描きながら古傷を避け、まだ新しいカサブタが出来たばかりの場所を横目に快調ツーリング!

この傷はクナイか?先生ってば昔はひょいひょい避けてたのに今は掠っちまうの?

ゆっくりじりじりと目的地に近付きながら、ツーリングコース自体がどっかに行かないようにチラッと視線を上げてみる

『全然気にならない』なーんて澄ました顔の天使がいますよ?

あー、ホント俺ってばこの人の顔も体も性格も全部全部大好き過ぎる!
なんて思いながらもバイクはスウェットの上から『魔の内腿ゾーン』へ突入。

甘く匂い立つ魅惑誘惑エキゾチックコースがピクッと動いたのは、気のせいなんかじゃない。
 
 
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