*BL*
□Junk&拍手ログ
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【四代目追悼SS//CP無し】
「おう、やはりここだったのぉ」
「自来也様…」
はらはら舞う木の葉を背負って現れた体躯は太陽をも背負い影に包まれていた。
目を細めたままシルエットの輪郭を捉えようとしたけれどいかんせん片目では上手くいかない
「ほれ。これも受け取れ」
「……」
ポンと。男らしいというか無頓着というのか。投げ出した花束が石碑の前で重なった。
同じ様に自らの身体までを投げ出し、胡坐の真ん中へ酒瓶を抱え込むとごそごそ探った腰の辺りからぐい呑みを取り出し、ひとつを目の前へ突き出してきた。
「呑めるな?」
「…ええ、まあ」
受け取る自分の手の生白さと、正反対の節太い指を交互に見ていると
あらゆる行動が男臭く荒々しい「里の狂気」は通り名と真逆の優しい笑みを寄越した。
「まったくこの時期になるといかんわい」
「…?どうかされたんですか?」
「いやぁ季節外れも甚だしいが花粉じゃのぉ。鼻水が出ていかん」
「……」
ズズゥと音を立ててからやはり豪快に目鼻を擦る
それがこの人らしい誤魔化しなのか本当に花粉による物なのか良く判らない。
判らなくていいのだ、と自分に言い聞かせながら目を逸らした
何故か申し訳ない気分になったのは一瞬でもこの人の胸の奥を詮索しようとしたからかもしれない。
受け取ったぐい呑みへ注がれる透明の液体
表面に映る 空は秋晴れ
「どうだ。ナルトは」
「着々と力を付けていますが…若さですかねェ。焦りが見えます」
「はははは。それがあの小僧のいい所でもあるんだがのぉ」
思えばなんとも不思議な縁
この人が四代目を育て、四代目が俺を導き、俺が今ナルトと一緒に闘う
そしてこの人は再びナルトに師と仰がれている
この狭い世界の中でもそうは耳にした事がない
そもそも忍は親子であっても三代顔を合わせる事自体が珍しい
血の繋がりのない師弟、それも皆一線で飛び回る現役
それぞれがそれぞれにしか出来ぬ事をあの子供に詰め込み、里の未来を繋ごうと奮闘している。
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