*BL*
□Junk&拍手ログ
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【四代目】
上忍師となってすぐに受け持った子供達は初めて送り出した任務で全滅してしまった。
彼らが弱かったのでも鍛えが甘かった訳でもない。そんな子供ですらをも戦場へ送り込まずにいられぬ悲しい時代だった。
誰も僕を責めなかった。そこには言い訳や理由めいたものが山ほどあったし、むしろそうして愛弟子を死線に送り出す事こそが良き上忍師として誉れる風潮さえあった。
暫くして再び受け持った子供達は、そんな時代に合わぬ耀い笑顔を見せた。
そうは言っても戦国時代は続く。めきめきと力を伸ばす彼らを見詰めていると「どうしてもう少し遅く生まれて来なかったんだろう」と数え切れぬほど思わされた。
木ノ葉の誇血うちはの子息。他国にまで名を轟かす白い牙の子息。高名なる医療忍の子女。
捨て駒にするには、贅沢すぎる未来が詰まった子供達。
どうして君たちに緩やかで穏かな未来を用意してあげられなかったのだろうか。
死んでくれるな。どうか、どうかこの時代を生き延びてくれ。
今、僕が君たちにあげられる物は生き抜く術だけ。
人を素早く殺す方法なんかじゃなくて、もっと空の青さや雲の高さを教えてあげられたらいいのに。
春に鳴く鳥の名前も知らぬまま大人になって欲しくないけれど、また僕は君たちを戦線へ送り出す。
武器を握るその小さな手がいつか花で満たされますように。
End
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