*BL*

□spoiled
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額当ても口布もしっかりいつもの場所だった初めの数回

玄関に入った途端に口布を下ろすようになった8回目

食事が終わっても 外した額当てを戻さなくなった15回目

誘わなくても当たり前の様にうちへ来るようになったのは…一体いつだったか。



そして、先に帰っていた俺に「ただいま」と言った 今日。



「イルカ先生は…どうして俺に構うんですか?」

「…構うって…」

「来れば嫌な顔もせずにメシを食わせてくれるじゃないですか」

「…それは」

「それは?」



相変わらず笑顔を浮かべたまま待っているけれど…

この人は一体、俺からのどんな返事を望んでいるんだろう。



ナルトにメシを食わせるのと変わりませんよ。

どうせ支度をするのに一人分も二人分も変わりませんから。

一人で食うよりも二人の方が美味しいじゃないですか。


そんな『俺らしい』返事を待っているのだろうか?



「先生の正直な気持ちを聞きたいんです」

「……」

「どうして俺を呼ぶんですか?他にも独身で一人でメシを食ってる奴なんて山ほど居るのに」

「それは…」

「うん。それは?」

「………」

「……」

「その…」

「……」



中々進まない会話に、痺れを切らす風でもなく淡々と言い放つ。




「……あのね。俺が『ただいま』って言ったじゃないですか」





ドキンと。心臓が大きく打った。

『おかえりなさい』と思わず口にした俺を見た時、ほんの少しカカシさんの表情が曇った事に気付いていたから。

おかしかった、だろうか?………いや、当然おかしいだろう。

男同士で、一緒に住んでいる訳でもないのにおかえりなさいなんて言う事はおかしいに決まっている。
 
 
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