*BL*

□名も無き感情の狭間で僕らはただ途方に暮れる
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「…で?何でウチなの…?」

「こいつが…この…ウスラトンカチがカカシんちに行くって言って聞かねぇからだ!」

「…いってーー!…あー?……ついたぁ〜?サスケちゃぁん、かかっせんせーんちついた〜ぁ?」


どさり。と労わりのカケラも無く置かれた…というよりも突き落とされた大きな物体が狭い玄関を塞いだ。

そのまま踵を返そうとしたサスケの肩を慌てて掴むが、面倒臭そうに振り返った顔は『もううんざりだ』と言っている。

確かに、今さらっと聞いただけでも居酒屋からここまでの道のり、かなりの苦難がサスケを襲った事は想像に難くない、…が。

こちらはもう今にもベッドに入って寝ようとしていたのだ。こんな正体不明の酔っ払いを置いて行かれては堪らない。


「ちょっと、サスケ!お前本気でコレ置いて帰るつもり…!?」

「…俺はもうコイツの世話は金輪際しねぇ」

「それはお前、お前の勝手だけど…だからって何で俺がしなきゃなんないのよ」

「…せんせぇ〜。おみずちょうらい!おみずぅー」

「……」
「……」


足元で大きな猫よろしくごろごろと甘える、自称『木ノ葉若手ナンバーワン』

参ったね…。と頭をぽりぽり掻きながら、すぐ傍の流し台へ行きコップに水を注いでやる。


「ほら、お水飲んで。ナルト、ちゃんと起きて自分ちに帰りなさいよ」

「んーー…やらー。とめて。せんせー!とっめてー」

「……」


何だかんだ言いながらも、生まれたての赤ん坊のように首の座らない青年の体を起こし、口元へグラスを宛てるカカシ。

それを見下ろし『よし、大丈夫そうだな』と、そっと玄関を出ようとしたサスケの足首を、無駄に忍者的感覚を研ぎ澄ませた酔っ払いがそれこそ目にも止まらぬ速さで掴んだ。


「っ…」

「さすけちゃんもかえッちゃらめ〜〜」

「離せ…っ!この…ウスラトンカチーーッ!」

「サスケ!静かにしなさいって!」


しーっと口元に指を宛てながら開いていたドアを閉め振り返ると、転がされたままニヤニヤと笑っているナルトのつんつん頭をサスケの足が踏みしめていた。


「は、な、せ。」

「やらー」

「……ぶっ殺す」

「サスケ!諦めなさいって。酔っ払いにムキになるんじゃないよ」

「……」

「そうらぞ〜!やさしくしろ〜!」

「…やっぱぶっ殺す!!」

「……」


ダメだこりゃ、と盛大に溜息を吐いて。ナルトの両脇を持ち上げたカカシが目で「足持って」と促した。
 
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