*BL*

□名も無き感情の狭間で僕らはただ途方に暮れる
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「…カカシに何を言われた?」

「はぁ?」


演習場へ足を踏み入れた途端、振り返りもせずに聞いてきた。


「何も…ってか、何だよそれ?訳分かんねえ」

「…サクラと別れたってあいつに言ったのか?」

「お前ねぇ、こっちの話も聞けって!何で俺がお前に詰問されてんの?」

「言ったのか?」

「……」


出た。サスケ君の必殺技。聞こえない振り。


「教えなーい。俺と先生のひっみつ〜」

「…ふざけるな。俺は真面目に聞いてる」

「俺だって真面目に答えてるっての。嫌だね、何で俺が先生との会話をお前に教えなきゃなんねぇんだよ」


偉そうにポケットに手を突っ込んだままのサスケに対抗して、腕を組んだままふんぞり返ってやった。

顎を引いて睨んでくる瞳をへへんっと見返し「俺と、先生の、ひ・み・つ」と繰り返してやると


「…カカシには近付くな」

「…」


思いも寄らぬ反応を返した。

てっきり「このウスラトンカチ!」などと言いながら掴み掛かって来るのかと思って、いつでも応戦出来るように気を配っていたというのに。

視線を合わせたサスケの目には


「もうずっと前から、あんたはあたしの事なんて見てなかった」

「さよなら、恋人のナルト。これからはまたただの仲間よ」


そう笑いながら言ったあの子の瞳によく似た、諦めの色が刷かれていた。


どうしてそんな目をするのか、聞きたかったけどやっぱり聞けなくて。

そんな目をするサスケとサクラちゃんも、いつも微笑んでいるカカシ先生の事も、俺には全然分からない。


俺だけがまた、ひとり落ちこぼれだ。





知らない、という事は罪なのかもしれない。


だけど、誰よりも知りたいと願っているのに知る事が出来ないのは酷く惨めだ。

知らない事が罪なのならば、知りたいのに知れないのは罰なんだろうか?

俺は罪を犯し罰を受けるのだろうか。それとも科せられた罰が罪を生み出したんだろうか。


あの夜、あの、泣き出してしまいそうな夜に先生は言った。


『月は 太陽なしじゃ輝けないんだよ』と。


せんせい、あなたの太陽は 誰ですか?




第6話
End
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