*BL*

□BLで20題
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【おひさま】



「はい、上向いて下さい」

「ハイ」


チョキチョキとリズム良く響く音に耳を傾けながら たまに肌を掠める体温が心地良い。

見上げた先には眩しすぎない大きな光。



「…アレって、結局どうなったんでしたっけ?」

「…??…アレ?何の話ですか?」

「あの…愚かな若者の話」

「……?」


チョキン。と音を立ててから、カカシに習い空を仰ぐイルカ。


「…もしかして、イカロスの話ですか?」

「そうそう。そんな名前でしたね」

「カカシさんって突然変な事を言い出しますよね」


呆れた物言いをしながらも、再び指を差し入れた銀の髪を零れそうな笑顔で梳く。


ちょきん。ちょきん。


「死んでしまった…んじゃなかったかなぁ」

「…そうなんですか?」

「はい。確か真っ逆さまに落ちて」

「……」


そうだった。蝋で固めただけの羽は太陽の熱で溶けてしまったんだ。

そして哀れで愚かな男は 無残にも地上に叩き付けられ命を落とす。



「俺も…不味いですね」

「…??」


ふふふ。と笑って揺れたカカシの頭をコラ。と正しながら


「そんなに動くとギザギザになりますよ?」

「構いませんよ。イルカ先生になら」

「??」


噛み合わない会話で微笑み合って。

太陽みたいなあなたに焦がれ 焦がされる。





End
06/10/08
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