*BL*

□BLで20題
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この瞬間を忘れない為に一体何が出来るだろうか、と考えた


思い切り腕に噛み付いてみたけれどいつしか癒えてしまいそうな傷しか付かなかった





【いろとりどり】




「せっつねぇぇぇぇぇぇぇっ!!」

「うるせー!このウスラトンカチ!」



夜空に向かって吼えてみたなら、この滅茶苦茶な気分も誰かの所為に出来そうな気がして

誰の所為にしようかなんて考えてもいなかったけど、確かに少し軽くなる腹の中



「…で、何があったんだ?」

「……」

「またフラれたのか?」

「またって言うんじゃねぇ…」



よく飽きねえな。と言い終わる前に「諦めねぇ!」ともう一度吼える

こいつ馬鹿か?と答えの分かり切った事を思い、ああそうか馬鹿だから諦めねーんだ、と、一人納得した


手を出そうとしているのが男だとか未だに里の看板を背負ってる忍だなんて事はひとつも気にならないらしい

恋する目はきっと全然違う場所を見ているんだろう


俺から見たら年寄りに見間違えそうな髪も、コイツに言わせりゃ「輝く月色の髪」だ。ゲェ。

だらけ切った立ち姿に色っぽいと見惚れ、どう間違えたって男以外には聞こえない声について語りながらうっとりと目を閉じるのだから付ける薬が無い



「アイツは無理だろ」

「…んでだよ」

「女にだって興味なさそうじゃねぇか」

「恋愛には興味あるかもしれねーだろ?いっつもイチャパラ読んでっし」

「アレって恋愛物なのか…?」

「何、お前読んだ事ねぇの?」

「ない」

「……」



にたぁーっと笑ってから「スッゲーんだぜ?」と肩を組まれた

別に本気で内容が知りたかった訳じゃあ無かったけれど、少しでもコイツの気が紛れているみたいだからまあいいか、と

サチコだかジュンコだかの恋バナに耳を傾けた





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