*BL*
□BLで20題
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【またね】
忘れてなんかいない癖に僕の顔を見て
「ああ、先生だった」なんて言う君
薄情だなぁと拙い嘘に付き合いながら
僕も君を忘れた振りをしてみせる
「髪、伸びた?」
「いいえ。切ったばかりです」
なんでもない遣り取りがキリキリと空気を震わせている
たった一言君が、僕の顔を忘れたいと思ったって言ってくれれば
たった一言僕が、君の髪一束すら見逃せないと言えたら
こんなに哀しくて優しい嘘をつかなくて済むのにね
「じゃあ、またねカカシ」
「はい、先生」
何でもない二人のまま背中を向け合って
反対側へ進めば進むほどに研ぎ澄ませてしまう
君がもう少し素直だったらなぁ
僕がもう少し子供だったらば
またね、の代わりは何だったのだろうか?
End
2007/04/18
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