*BL*
□ことのは
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いつでも、語り継がれるような凄惨な戦いの場に身を置いていた
戦いが好きかと聞かれれば決してそうではなかったし、では戦を嫌っているのかと聞かれても頷く代わりに首を傾げ目尻を下げて誤魔化す始末。
「平和」の概念がどんな物かは当然知っていたけれど戦争の中で感じる平和でしかそれを実感する事など出来なかったから。
「戦争のない平和」は存在しないのだ
「戦争」が存在しなければまた「平和」も存在しない、
いつか誰かが言ったもっともらしい言葉を思い浮かべ、だったら平和なんて言葉も捨ててしまえばいいと思った
人を殺すのは少しも楽しくなかったけれど、そうしていれば最低限の居場所とやらねばならぬ事があった
「誰かと一緒に何かをする」というのはオレの人生の中でこれだけだったから。
戦争の中の平和。際立ったそれを見つける時、詰めていた息を吐いて腕を下ろせる
何も動かず何も言わない中でやっと平和がきたと思うのだった。
それは皮肉で、馬鹿馬鹿しくて、意味なんて何もないと虚無になる平和だった。
戦争がなければ平和も存在しない。やっぱりそれは事実なんだろう。