*BL*

□1月25日 晴れ
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「あれ?早かったねぇ。おかえり」

「たっだいまー!先生ー寂しかった?」


無言で黙々と作業するサスケに釣られた所為か、思ったよりも早く任務を終え、報告書はサスケに任せて家路についた。

「そういえば牛乳無えって言ってたな」と立ち寄ったスーパーで、何祝いかも分かんないけどケーキって言えばコレだろ?と苺や生クリームを買い込んで来た。


手渡した袋の中を覗き込みながら不思議そうな顔の先生。


「あれ?買い物してきてくれたの?」

「へへっ。朝ケーキ焼いてただろ?冷蔵庫にこういうの何も無かったよなーって思い出したから買っといた」

「そうか・・・ありがとね」


風呂沸いてるから入りな、埃っぽいよ。と眉を顰められて、「俺とサスケで引越し手伝いって贅沢じゃね?」なんて言いながら服を脱ぎ捨てる。

サスケの野郎が軽くて小さい物しか運ばねーから俺がどデカい壷やら箪笥を運ばされた所為で、服を脱ぐだけでも腕の筋がぴきぴき言っている。


「ま、物騒な任務が少ないのはいい事じゃないの?」

「でもさーいくら高い置物っていっても忍の任務じゃねえよ」

「昔は草むしりだってしてたじゃない」

「あんなのはガキの頃だろー?」


今もガキでしょ?と笑いながらタワゴトに付き合ってくれる先生はちょっと珍しい。

いつもだったら「いいからさっさと風呂入りなさい」って切り上げられる筈なのになぁ、と脱衣所から顔を出してリビングを覗くと、見慣れぬ光景があった。




俺が帰って来るまで座っていたらしい場所に、先生愛用のマグカップと食べ掛けのケーキ。



「・・・・・・」


任務後は時間に関係なく腹減ったと騒ぐ俺に少し早い晩飯を作り始めているのかキッチンからトントン響く包丁の音。

テーブルの上のケーキは生クリームも何も乗っていないスポンジだけ。なのにその上にはちゃんとロウソクが刺さっている。

既に一度火を点けて消されたのだろう、ロウソクの芯が黒く煤けていた。


見なくていい物まで見えちまうこんな時、忍じゃなかったらなぁ、と少し思う。
 
 
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