□チャチャぱろ!5
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マンドリルから疲れて一時休戦していた綱吉達だが、これではラチがあかない。
先に動いたのは綱吉の方だった。



「んじゃ、手加減なしの本気でやらせてもらおう!」



ガチョーンとよく分からない呪文を綱吉が唱えたその時、ツナの周りを真っ赤な炎が取り囲んだ。

熱い、堪らなく。
これではリボーンを助ける前に焼け死んでしまう。
そもそもリボーンの近くという最も安全な地帯で育ってきたツナだ。
とっさの判断が出来ないでいた。



「ツナ!火に対抗するものを出せ!!水でも雪でもあられでも何でもいい!!」



リボーンの手助けにツナはテンパりながらも色々頭を巡らせた。



「みずーっ!!お水ーっ!!ゆきーっ!!雪だるまーっ!!!」



うーうー唸るツナをみてちょっと可哀想かなぁと思った綱吉だが、慌てて首を振る。
だが見てると自分が苦しめられているようで、なんだかいたたまれない。

リボーンも少し焦りを覚えたのか、掛けられた錠前に手をかざしていた。
最初からこんな檻屁でもない。
出ようとすれば簡単に出られる代物だ。
ただちょっと面白そうだったから捕まってただけで。

チッ、とリボーンが思わず舌打した瞬間、ドカンと音を立てて扉が開いた。



「ツナ…!!!」

「あっちぃよぅ!うわぁーん!」



王子さながら格好良く登場したコロネロだったが、全くツナはみていなかった。
だが、コロネロの肩にはちゃんとカメレオンが乗っている。
コロネロの勘は伊達じゃなかった。



「おい、バカネロも生きてたし帰るぞツナ」

「んなっ、リボーンいつのまに出てきたの?!」

「最初から出られるあんな檻」

「はぁ…まぁオカシイとは思ってたけどさぁ。つーかお前の弟子聞いてないぞ?」



聞いていないどころか、コロネロの存在もリボーンが檻から出てきた事も知らないままだ。
さっさとリボーン達が火を消さなかったのが問題だったのだろうか。
ツナは気張りに気張って巨大雪だるまを出した。


否、これは――…



「…巨大雪だるま花火?」



3人はピシリ、と固まった。
雪だるまだけでも謎なのに、なんだコイツ。
頭は大丈夫か。
そもそもこんな魔法音痴が魔法を使ってていいのか。



「…あとで説教だな」



フッ、とリボーンが悪魔の笑みを漏らしてからキッチリ3秒後。
大きな花火が綱吉の城に打ち上げられた。



「あぁぁ!せっかく立てたのにっ!」



危機一髪、全員上手く逃げ出せている。
綱吉はダチョウと戦っていたスカルを拾いあげて、空へと移動した。
あのままいけば何も知らないスカルだけ被害を被ることになる。
危ない危ない。



「…ありえない。綱吉より凶悪だな」

「どーしよ、スカル。家ないよ」

「知るか。魔法で出せ」

「えーっ!手伝ってよ!」

「嫌だ。今日は…疲れた」



はぁ、と2人して大きな溜め息をついて、綱吉とスカルはとりあえず宿を探すために其処を離れることにした。



「リボーン覚えてろよ!」

「おー。一生覚えててやるぞ」

「スカルばいばーい!」

「あぁ、またな」

「またなんてないぞコラ!」



ぎゃーぎゃー言った後で、リボーン達も家へと戻ることにした。
生憎彼等の家は健在だ。



「ま、失敗続きだった割には綱吉に負けてなかったぞ」

「えっ、本当に!?」

「おー」



やったぁ!と舞い上がって喜んだツナがよろけたのを、後ろにいたコロネロが支える。
箒の3人乗りをいとも簡単にやってのけるのがリボーンだ。



「コロネロも、無事でよかった!」



思わず涙目になりつつ、ツナはそのままの勢いでコロネロに抱きついた。
瞬時にコロネロは真っ赤になる。



「お、おいっ!」



焦るコロネロをしりめに、ツナは考えた。
今回の冒険で、気付いたことが2つある。
1つは、ツナにとって魔法使いになるにはまだまだ修業が足りないということだ。
だがもう一つが大事なのだ。

今までコロネロのことを仲良しの友達だと思っていたけれど、どうやら違うみたいである。
コロネロに突き放されたあのとき、ツナは本当に苦しかった。
しかし、これをどう伝えたらいいのだろうか。

ツナはうんうん唸った後で、コロネロの目を見てハッキリ言った。



「コロネロ、あのさ、俺、コロネロのこと愛してる!」



えへへ、と花を散らすツナに2人の男が固まった。
一人は言わずもがな、コロネロである。
あとの一人は、リボーンであった。
綱吉も大切だが、ツナも大事なのだ。
まるで娘を持った父の様である。
まぁ空気をブチ壊したい気もするが、今回は2人とも頑張った。
チラリとコロネロをみやれば、未だ固まったままだ。
所詮この2人の恋愛なぞタカが知れている。
まだまだオコチャマだから、辿り着く場所はオママゴトの延長というところだろう。



「さ、帰って飯にするか」

「わーい!カルボナーラ!」



幸せそうなツナの声が夜空に響き渡る。
本当によく頑張った。
新たな想いにも気付けた今日は、よく眠れることだろう。
否、コロネロは全く眠れないだろうが。

まぁ精々頑張れ若僧。


そして月が微笑む頃に、リボーンもクツリと静かに笑ったのだった。



fin.

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