□チャチャぱろ!3
1ページ/1ページ



無事?2階へとたどり着いたコロネロは頭を押さえて悶えていた。
いくら石頭といえどコレは酷い。
まだ落ちていた方がマシだったような気がする。



「ってぇな!!ツナー?!どこだコラ!!」



怒り半分、心配半分、コロネロは自分が開けた穴を覗いてツナの安否を確認しようとした。



「コロネロぉ!!」



が、ツナは左に見える階段にいた。
因みにこの城、複雑に階段がいりくんでいて、凄く分かりにくい。
まるで迷路だ。



「ツナ、今行くぞコラ!」


コロネロは痛む頭を押さえながら、階段を探して降りていった。
しかし、辿り着いたころにはツナの姿はない。
先ほどまで、確かにここに居たハズだ。



「コロネロ待ってぇ〜!!」

「んなっ!!」



上から声が聞こえたので見れば、そこにはツナが居た。
丁度、コロネロが居た位置だ。
つまりスレチガイ。



「バカかテメー!!動くんじゃねぇ!追い付けねぇだろコラァ!!」



絶対に動くなと念を押して、コロネロは再び足を動かした。
まったく厄介な想い人である。
想い人と自分で確認して、コロネロは顔を赤らめた。
一人で忙しいことこの上ない。

ふと、コロネロの目付きが険しくなり、コロネロは器用に右側へと跳んだ。



「!」



ストトン、と何処からか降ってきたナイフが、コロネロの居た場所に刺さる。
チラリとナイフがとんできた方向をみれば、スカルが息を切らして立っていた。



「まだ懲りてなかったのかコラ」

「…当たり前だ」



意外とスカルはねちっこかった。
バチバチ、と二人の間を電流が走る。
本日二回目のゴングがならされようとしていた。



「あー、コロネロとはぐれた!ヤバイ!どうしよ!」



一方一人で取り残されたツナは相変わらずテンパっていた。
うんうん唸って悩んだ結果、ツナの頭に浮かんだのは何故か鳩だった。
何故鳩か。
それは本人にも分からない。



「鳩さん出てきて俺をコロネロの所へ案内して!」



手をかざし、祈りをかけた瞬間、ドバンとかなりの煙が立った。
もしや、成功したのだろうか。
が、次の瞬間ツナは固まった。



「ってちがーう!!おまけにぶさいく…っ」



煙が晴れて出てきたのは、立派なダチョウだった。
何故ダチョウか。
それは本人にも分からない。



「クルックー」



しかも鳴き声だけ鳩。
最悪である。
ツナは涙を飲んで自分の能力の無さを恨んだ。

そんな事とはつゆ知らず、コロネロとスカルは口喧嘩をしていた。
先程の戦闘でお互いの体力は削られていたらしい。
スカルはコロネロによってだが、コロネロはツナによってなので、そこらへんちょっとアレなのだが。



「だいたいテメーさっきから魔法使ってねーじゃねぇかコラ」

「使った。出てくる時に」

「オイ敬語忘れてんぜ?ツナと約束しただろコラ」

「……。分かりましたよ、コロネロ先・輩!」



ツナの名前を出されてスカルは仕方なくコロネロに従う事にした。
一体何しにきたのだろうか。
よく分からない。
多分ツナに会いたかったのだろう。
コロネロは舌打をした。



「ぎぃやぁぁああああ!!」



その時、悲鳴が響き渡った。



「「ツナ…っ!?」」



聞き覚えのある声に、2人は同時に振り向く。
するとこっちに向かって走ってくるツナが見えた。
コロネロは「今まで何してたんだコラ」と一喝しようとしてカッチリ固まった。
否、コロネロだけではない。
スカルもバッチリ固まっている。



「何ですか、アレ」

「…ダチョウだなコラ。テメーんちは室内にダチョウ飼ってんのか?」

「誰が飼うかぁああ!どうみてもアレはツナが引っ張りこんできたんでしょうが!!何とかしてくださいよコロネロ先輩!!」

「クソッ!ツナ落ち着けコラぁあああ!!」

「ぎゃぁあああ!無理無理無理無理!!助けてぇ!!」

「つーかこっちに来んじゃねぇええ!!」



結果、3人は見事に追われる事になった。
屋敷の中を、走って走って走りまくる。
そして大きな扉をコロネロが開けて、それをツナとスカルが全力で閉める。
というか、ほぼ扉は自分でしまっていた。



「っ、はぁ!!」



3人くたびれて、景色を見る。
そこで唖然とした。
チュンチュンと爽やかな小鳥の鳴き声。
サワサワと優しいそよ風。
ちょっと待て。
コレ、外ではなかろうか。



「あぁ…振りだしに戻ってしまった……」



ツナが泣きそうになっている間、コロネロは扉に耳を当てて状況をつかもうとしていた。
まだ扉の向こうから鳩の鳴き声が聞こえてくる。
ずうたいはダチョウだけど。
スカルはスカルでイライラしていた。
まったく、何で己がこんな目に…!



「くそーっ…こんなんじゃリボーン助けらんないよぉ」



本格的に泣き出したツナを見て、2人はギョッとする。
いつものような泣き方であれば、「男だろ泣くなコラ」とコロネロも殴って慰められるのだがこうなってしまうとどうしたら良いか分からない。



「なっ…今更何言ってんだコラ!やれば出来るかもしれねーじゃねーか!」

「そ、それかいっそのこと綱吉の弟子になったらどうだ?」



空気を読まないスカルにコロネロは蹴りを入れた。
が、これでもスカルは頑張った方だ。
綱吉が見たら「スカルが他人に優しくした!」と赤飯を炊く程には。



「でも、俺の魔法なんて失敗ばっかりだしっ!!全然役に立たないんだもん!!やっぱり俺なんかじゃ何にも出来ないんだっ!!」



ポロポロと、次から次へと流れてくる涙にコロネロは眉間に皺を寄せた。



「そんなこと言うツナは嫌いだコラ」



いつだってダメでも、鈍臭くても、ツナは笑っているのが取り柄だったのだ。
コロネロはツナのそこに惚れていた。
たとえ時々やる気がなくたって、優しくて実は頑張り屋さんであることをコロネロはリボーンの次に知ってる。
だからこそ、その頑張りを否定するツナは嫌いだ。


ツナはコロネロの一言に心臓をグサリと刺された気分になった。
コロネロは初めて出来た唯一の友達だ。
今までも、これからも、ずっと繋がっていたいと思う。
それなのに、いつだって自分を信じて力を貸してくれた彼を裏切ろうとしているのは他でもない自分。
最低だ。

そう思い気付けば、ツナはコロネロの服を掴んでいた。



「や、やだ…っ!嫌いになっちゃ…!」



ぎゅう、と握る力を強められて、コロネロは小さく溜め息を吐いた。
まったく、本当に手のかかる想い人だ。



「リボーンのヤツ助けだして…おもいっきし恩売るぞコラ」



顔を赤くしながらも、にやりと笑うコロネロに、ツナは涙が溢れそうになるのを堪えた。
ここで泣いたら駄目だ。


だから泣く代わり、ツナは力強く頷いてそれに応えたのだった。


.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ