生意気な子供達

□分かっててやってる
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夏のセミナー室はむやみやたらと寒い。
冷房がやけにききすぎている。
苦手といえば苦手だ。
暑いのも嫌だけど、寒いのも嫌。
わがままだってのは承知してるけど、まぁ人間ってそんな生き物。


「アンタ顔色悪いぞ」
「ガッテン」
「言葉遣いもイカれてる」
「うぅっ。だって寒くないの?お前」
「確に少々涼しいけどな。アンタ程じゃない」


隣に座るスカルは確かに涼しい顔をしている。
うぅっ、と綱吉は唸りスカルを恨めしそうに睨んだ。
そんな綱吉を見て満足そうに微笑む辺り、スカルもリボーンと大差ない気がしてきた。


「唇、青い」


ツツ、と唇をなぞられて、綱吉はビクっと肩を揺らした。
2人は一番後ろの席に並んで座っている。
今は自習中だ。
忠実な生徒達は、ヒソヒソと会話をしながらも真剣に取り組んでいる。
綱吉とスカルを見ている者は居なかった。
クーラーが、小さいく音を立てて働いているのが分かる。
綱吉はイヤな予感を覚えた。
スカルの手付きが段々といやらしくなっていく。


「あああああ青いってそりゃ青いよっ!何を今更!」
「手も冷たい」
「ええええ、えぇ!」
「ツナ」
「な…なんでございやしょっ…ン!」


いきなり手を下に引かれれば、当然体は椅子から落ちる。
椅子はスカルが反動をなくした為、静かに滑っただけだ。
一方、綱吉とスカルはというと丁度机の陰に入ってキスをしている所だった。
なんせ2人は恋人同士。


「…っ!!スカ、スカスカスカスカスカスカっ…!」
「しっかりしろ」


パシン、と頬を軽く叩かれて綱吉はアワアワと辺りを見渡した。


「馬鹿かお前は!バレたらどーすんだよ!」
「馬鹿じゃなければバレてもないから大丈夫だ、安心しろ。それに、ホラ。唇の色が戻った。よかったな」
「よくねーよ!確かに体は暖まったけど!」


ヒソヒソ声でスカルの胸辺りをポカポカと叩きながら綱吉はフルフルと首を振っている。
否、ヘットバンキングの域で。


「まぁ落ち着け」
「だからぁっ…んむぅっ!ん、」


スカルは楽しそうに笑って、綱吉にキスを仕掛ける。
何度も何度も口付ければ、綱吉は腕の中で大人しくなった。


「…ん」


ちゅ、と音を立てて離れた唇。
彼の熱が恋しくて、思わず首に手を回してしまっていた。
スカルはおもむろに立ち上がり、何ごとも無かったかのように席につく。
ポカンと口を開いたままの綱吉。


「アンタも席につけ。もう鐘なるぞ」
「えっ」
「続きが欲しいなら後でしてやる」
「いや…結構デス」


この男ッ…!!

綱吉はヒクリ、と頬を上げてスカルを見た。
最悪だ。俺だけ踊らされた。もう本当に最低だ。


静かに椅子を直しながら、綱吉はスカルを睨みつけた。
ふと気付く。


「おまっ…プリント!」
「あぁ、もちろん終わってる。当たり前だろう」


ニヤリと意地悪く笑う彼のプリントは、全て埋まっていた。
打って変わってこちらのプリントは白紙に近い状態である。


「…もーお前…絶交!」


ムキィィ!と叫んだ綱吉を見てスカルは呟いた。


今回の絶交は、何十分で終わるんだろうな?


と。


嗚呼、コイツ。
分かっててやってる!

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