生意気な子供達
□どうしたって敵わない
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俺はツナが好きだ。
他のどの愛人達よりも好きだ。
抱きたいとか、そういう意味で好きだ。
奴は稀にみる鈍感力の持ち主で、この気持ちは未だ気付かれていない事も事実ではあるが、この俺が勝利を勝ち得るという自信もある。
ライバルは多い。
負ける気はサラサラねぇし、俺が断トツで美貌を誇っているにしても、奴は余りに甘い面した奴らに囲まれすぎている。
まぁ、これは本当に敵ではないのだけれど。
ただ問題があるとすれば、アレだ。
奴らは立派な『変態気質』なのだ。
本当に旗迷惑な奴らである。
「ねぇ、どう思う?リボーン」
チラリと愛しのマイハニーに目をやれば、習慣となってきた洋服選びに没頭している。
これが自分の洋服選びなら苦労はしない。
ショッピングの護衛に連れていかれようと、それならば文句は言わないし、俺の趣味だって押し付けられるのに。
「コロネロはやっぱこういうのも似合うと思うんだよね!スカルはこっち!あぁ、でもあいつらカッコイイから何でも似合っちゃうんだよなー!」
極限まで達したイライラは、呆れに代わってしまった。
無駄な疲労感が襲う。
ここは一般の服屋だし、銃を安易に撃つことはしない。
しない、が。
「いっ…てぇえ!何すんだよお前!」
思いっきり足を蹴り飛ばしてやった。
奴はよろけてから、なんとか体勢を立て直す。
むぅ!と唇を尖らせて。
ンだテメーいくつだよ。
つかキスしてくれっていってるようなモンじゃねーか俺が居ない間にそれやったら次こそ命は無いと思えよ。
「お前がウジウジ悩んでるからだろーが。あいつらにはこれでいいんじゃねーか?お似合いだろ?」
「それスカートじゃんか。確に女装も似合うから捨てがたいけど」
これがマジで言ってんだから痛い。
痛すぎる。
ちらっと頭に浮かんだ同胞は、ものの見事に女装していて、若干、いや、かなりの吐気を催す。
「リボーン、お前にはこれがいいんじゃないか?」
はい、と出されたのはフツーのガキが着るようなシャツとパーカーとジーパン。
「願い下げだぞ。大体それあのグズ達と色違いじゃねーか」
「だってお前らラフな服装持ってないだろ?普通に遊びにいけないじゃん。考えて見ろよ、一人ラフ仕様な俺と黒いスーツとボルサリーノ粋に被った子どもと、迷彩柄のバンダナつけて軍服着た子どもと、ヘルメットとライダースーツ着た子どもの集団だよ?目立って仕方ない上に、謎すぎるじゃんか」
「確にシュールだが、そもそも4人で出かける意味が分からねぇぞ。テメェも俺達も遊んでる暇なんて無いんだしな」
「…うっ」
今度は涙目になって服と睨めっこをしているツナは、もういいよ、と呟いて店の奥へ消えていった。
どうやら諦めたらしい。
そうだ、話を戻そう。
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