生意気な子供達
□甘くて不味い
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ぴちゅぴちゅ、と。
雀がグルグル弧を描いて飛んでいる。横を見れば、元教え子で今や世界のマフィアの心臓部分、ボンゴレファミリーのボスのダメツナが縁側でうなされながら寝ていた。季節は夏。イタリアの夏は日本に比べたら涼しいものだが、本日は際どいくらいに暑い。それも炎天下で熱中症注意報だって出ているほどだ。
たらり、たらりと白い滑らかな素肌を汗が流れていく。その汗が、太陽の光により反射する。鎖骨で溜る。………エロいな。
「ん……う〜」
しかも唇が半開きだ。
「……あぢーよー」
ごろごろ、ぐだぐだ。色気があるようでない。いや、もはや出血大サービスな勢いで色気だだ漏れだ。それなのにこの言動。だらけているのか誘ってるのか。否、本人はだらけているに違いない。コロネロがいたならすぐに襲っていただろう。スカルならば少しは我慢するかもしれない。
まぁ、俺様は他の2人よりはマシだな。
「と、いうわけで。キスさせろツナ」
「と、いうわけで。の意味が分からないよ!!断る!!」
「んだテメー書類が片付かないから手伝ってとかせがんで来たからわざわざこの俺様が来てやったんだぞ。報酬を払うのは当然だろ。まぁ金で払ってもらってもいいが、ダメツナの唇ひとつで許してやるっつってんだ。安上がりでいいじゃねぇか」
「う……そうかな?…ってイヤイヤイヤ!!違うから!!」
ぎゃーぎゃー騒ぐツナを押し倒し、手首を押さえつけた上での攻防戦。ふと、ふわりと甘い香りが漂ってきた。
「おいダメツナ」
「何だよ!?つーかダメツナじゃないって……!」
「お前、何か菓子食ったか?」
「菓子?食ってないよ」
「……、そうか」
「何?何で?」
「いや、なんでもねー」
ぐいっ、と顎を持ち上げ、噛みつく様にキスをしたその時。
「……っ!!」
「んっ!……んふぅっ…ん?」
即座にツナの顔を離し、飲み物を探す。
「りぼ、ん?」
どったの?可愛らしく首を斜めにしても今は可愛くない。むしろ憎たらしい。
「こんのっ……!!ダメツナ!!」
「へ……?」
「口に何つけてやがる!」
「はぁ?口?…あ!あぁ、唇ね!香り付きリップだよ」
夏って紫外線で焼けて唇ピリピリ痛いし、ハルにリップ頼んだんだけど間違えて女の子用の買ってきちゃったみたいでさぁ!あはは、と笑うダメツナの頭を存分に殴る。コノヤロウ、あははじゃない。
「…ダメツナめ。こんなクソ不味いのなんて使うな。言ってくれりゃあリップなんて俺が用意したぞ」
「いや、悪いし」
「それにそんなん使ってたら味覚障害起こすぞ。舌までダメにする気か」
不味くてたまったもんじゃない。ハルのやつ、絶対わざとだな。以前彼女が良からぬ発言をしていたことを思い出す。
『ツナさんって可愛いから、グロス入りのリップ使ってもキューティクルだと思うんですよねぇ!』
その時「やめてくれ」と言わなかった自分に後悔する日が来るとは思いもよらなかった。
「なんだよリボーン。そんな怒らなくったって……つーか勝手にキスしたお前が悪いんだろ?」
「まさかこんなの付けてるとは思わねぇぞ。大体、意味が分からねぇ。苺の香りだかなんだか知らねぇが邪道なんだよ。無駄にあまったりーしな」
「ふぅーん。そーいえば昔からお前フルーツ系の○○○味とかいうの嫌いだったよな。歯磨き粉しかり、ガムしかり。ミントとかは平気なのにな」
「ミントは甘くねぇからな」
へぇ、とツナは笑ってリップを取り出した。……しかも大量にある。数えてみたら、6本あった。
「…んだそりゃ」
「んー?だからハルがくれたの。俺甘いの好きだしね。ミントとか辛いのより全然」
苺味でしょー
ハニーアップル味でしょー
キャラメルマキアートでしょー
グレープフルーツでしょー
あ、ほらほら!
エスプレッソもあるよ!
あとはバニラね。
「…………」
もはや言葉がでない。この男、今年で28じゃなかったか?別に童顔だから似合ってるとしても、一人の男としてどうなんだ。現状は恋する少女漫画系乙女ではないか。……どこで育て間違えたというのだろう。
「…もういい。報酬は俺の口座にでも振り込んでおいてくれ」
「え、もうキスはいいの?」
「うるせぇダメツナ。ヤる気が失せた」
「あっ、そう?」
それから一週間後、キスをされないと分かってから毎日日替わりで違うリップを塗りたくるダメダメ教え子の意図を知り、リボーンが奴を顔面から洗面器に沈ませたのは言うまでもない。
「んっ!…んふぅっ…ん?」
即座にツナの顔を離し、俺は飲み物を探す。
「りぼ、ん?」
どったの?
可愛らしく首を斜めにしても今は可愛くない。
むしろ憎たらしい。
「こんのっ…!!ダメツナ!!」
「へ…?」
「口に何つけてやがる!?」
「はぁ?口?…あ!あぁ、唇ね!香り付きリップだよ」
夏って紫外線で焼けて唇ピリピリ痛いし、ハルにリップ頼んだんだけど間違えて女の子用の買ってきちゃったみたいでさぁ!
アハハ、と笑うダメツナの頭を存分に殴る。
コノヤロウッ…!!
「…ダメツナめ。こんなクソ不味いのなんて使うな。言ってくれりゃあリップなんて俺が用意したぞ」
「いや、悪いし」
「それにそんなん使ってたら味覚障害起こすぞ。舌までダメにする気か!?」
くそまじぃ!!
たまったもんじゃねぇ。
ハルのやつ、ぜってぇワザとだな。
以前彼女が良からぬ発言をしていたことを思い出す。
『ツナさんって可愛いから、グロス入りのリップ使ってもキューティクルだと思うんですよねぇ!』
その時「やめてくれ」と言わなかった自分に後悔する日が来るとは思いもよらなかった。
「なんだよリボーン。そんな怒らなくったって…とゆーか!勝手にキスしたお前が悪いんだろ?」
「まさかこんなの付けてるとは思わねぇしな。大体、意味が分からねぇ。イチゴの香りだかなんだか知らねぇが邪道なんだよ。無駄にあまったりぃしな」
「ふぅーん。そーいえば昔からお前フルーツ系の○○○味とかいうの嫌いだったよな。歯磨き粉しかり、ガムしかり。ミントとかは平気なのにな」
「ミントは甘くねぇからな」
へぇ、とツナは笑ってリップを取り出した。
…しかも大量にある。
数えてみたら、6本あった。
「…んだそりゃ」
「んー?だからハルがくれたの。俺甘いの好きだしね?ミントとか辛いのより全然」
イチゴ味でしょー
ハニーアップル味でしょー
キャラメルマキアートでしょー
グレープフルーツでしょー
あ、ほらほら!
エスプレッソもあるよ!
あとはバニラね。
「…………」
もはや言葉がでない。
コイツ…今年で28じゃなかったか?
別に童顔だから似合ってるとしても、一人の男としてどうなんだ?
現状は恋する少女漫画系乙女じゃねぇか。
…どこで育て間違えた俺?!
「…もういい。報酬は俺の口座にでも振り込んでおいてくれ」
「え?もうキスはいいの?」
「うるせぇダメツナ。ヤる気が失せた」
「あっ、そう?」
それから一週間後、キスをされないと分かってから毎日日替わりで違うリップを塗りたくるダメダメ教え子の意図を知り、俺が奴を顔面から洗面器に沈ませたのは言うまでもない。
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