今の夢

□小さな子供
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「コホッ、コホッ。」
今日はなんだか体に異変がある。
思い当たる事といえば、昨日は夜遅くまで白鬼院さまの事を色々考えていた。
「白鬼院さまがお側にいながら体調が崩れるなんて事は………あっ!!これはきっと…」
ポンっと手を叩き、僕はある事に気付いた。
頭がぼーっとして熱い。
きっと熱があるのだろう。
でも、白鬼院さまのSSとして彼女の側を離れる事はあってはならない。
「かと言って、白鬼院さまに移してしまうのはもっとあってはならない…」


「で、なぜそうなった?」
防護服を着込んだ僕を見て白鬼院さまは眉を寄せた。
「ええ、白鬼院さまに移してしまっては大変ですので…」
「だからと言って、君はバイオハザードレベルいくつの脅威に備えてるんだ!!」
「そうですね…、白鬼院さまの従僕である僕が熱など…、この失態は死をもって!」
「償わんでいい!!」
刀を取り出した僕から白鬼院さまは全力でそれを取り上げた。
毒を吐きながらも優しい白鬼院さま。
「熱とは何度くらいあるんだ?」
「計っていませんので何度かは…」
「計って来い。にしても、こんな時期に熱とは…」
「はい、ただの知恵熱なのでお気になさらずに。」
「君は自我の芽生えたばかりの子供か?」
そう言われ、僕は白鬼院さまに微笑みかけた。
最近の僕は目まぐるしい勢いで感情を芽生えさせている。
そのため、考えたり喜んだり悩んだりと、ようやく人並みに成長してきたのだ。
だから、白鬼院さまの仰る通り、僕は自我の芽生え始めた子供と一緒なのだ。
貴女の事を想い過ぎて熱まで出てしまった。
「とりあえず、君はこっちだ!!」
「白鬼院さま?」
不意に白鬼院さまに腕を引かれ、僕はそのまま白鬼院さまに連れていかれる。
「そんな体調で僕の周りをウロウロされても迷惑だ。」
そして、僕は白鬼院さまに自分の部屋へと帰され、ベッドに寝かされた。
「フンッ!」と言いながら彼女は少し満足そうに僕を見下ろす。
普通の人から見たら彼女の行動、言動は乱暴なのだろう。
だけど、僕にはハッキリと理解出来た、白鬼院さまが僕の体調を心配して下さっているのが。
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