妖精 Long

□闇に染まるは星の姫〜プロローグ〜
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これは、昔昔のはなし―――



〔昔、神龍と呼ばれた、ドラゴンと似ている生きものがいた。
神龍は、世界を統べるほどの力を持っていた。
その力を狙って、欲深な人間が神龍の元を訪れた。
人間が好きな、心優しき龍。だが、訪れる理由は皆、力が欲しいから。
神龍は、嘆いた。

自分を、自分として見てくれる者はいないのか。

ある時、一人の娘がやってきた。独りの龍は、またか、と思った。
だが、彼女は違った。

貴方も、私と一緒ね。

一緒。
一緒…とは。

どういう意味だ?

私と貴方。貴方の元を訪れる輩は、皆力を求めている。貴方を見ていない。

龍は笑う。

ああ、そのとおりだな。
皆、我を見ない。
力のみを見ている。
だから、誰かがここにいても、我は独りだ。





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