☆ 妖狐×僕SS
□タピオカと君
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そもそも、双熾くんに一緒に来てもらったのは、もちろん交通費がかからないっていうのと、青春期特有の興味心から、いや、もうきっぱり断言してしまうなら、彼が好き、だから。
彼はルックスはもちろんのこと、性格もその辺のレベルの低い男子に比べたらよっぽど大人だ。
まぁ現に大人なんだけど。
そんなわけで彼氏のいないあたしからしたら、彼はあたしの恋心を大いにくすぐってくれるわけですよ。
そんな彼とショッピングなんて....
『.........ふぅ。』
他人から見たら付き合っているように見えるのかな。
『わーっ、可愛い!』
「花様はふんわりしたイメージの服がお好きなのですね。」
『うんっ、あっ、この色も好きー!』
あたしはすっかり双熾くんに促されるまま荷物を持たせて、ショッピングを満喫している。
季節の節目が近づいたこの頃を狙ったのは言うまでもなくセールを狙う為である。
売れ残りを含む好みな服や靴が立ち並ぶ店に入れば、彼はどんな服でも似合う、なんて言うけど、やっぱりこれだけは譲れない。
結局あたしは冒険を避けてピンク色のワンピースとハイヒールを購入した。
『よっし、おーわり!双熾くんは何か見たいのある?』
会計を済ませて後ろで荷物を受け取る彼に一言声をかければ、彼は微笑んで首を横に振った。
「いえ。僕はこうしてお側で荷物を持ち、後ろから楽しそうにお買い物を楽しむ花様を眺めていられるだけで幸せですので。」
『....そっか//』
って、何を照れてるあたし...!
ここはいつも通り、公共の場で言うな、とか、ツッこむところだったのに...。
『じゃあ....。』
買い物が終わってこの2人の時間が幕を閉じてしまうのはあまりに惜しい。
どうにかして、もう少し、もう少しだけ双熾くんといたいよ...。
『タピオカが、飲みたい。』
「かしこまりました。ここのショッピングモールの1階、食品売場にお店をみかけましたので、そちらへ行きましょう。」
『う、ん。』
「....大丈夫ですか?長く歩いていましたから、疲れたのでしょう...。宜しければ僕が....」
彼がこの後言うことなんて分かってる。
確かにかかとは痛いけど、ここで頷けば公共の場で1階の食品売場までお姫様抱っこだ。
あたしは首を横に振って愛しのタピオカ売場へと向かった。