☆ 妖狐×僕SS
□嫉妬
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* 御狐神 side *
ふぅ。
僕は花様をベッドに寝かせ、窓を閉めた。
むしゃくしゃしてやった。
もし(ないが)僕が警察に先ほどの行為を聴取されるとしたらきっと僕はそう答えるだろう。
花様の腕に抱かれているのを見て、嫉妬というものを感じた。
こんな人らしい純粋な気持ちを感じたのは、初めてだった。
花様は僕をぎょっとして見つめていたが、暖かい飲み物を持ってくると言うといつも通り少し申し訳ないような顔をしてこくりとうなずいた。
僕はしょうが湯を作りながら思った。
最初、花様とはただの主従の関係であると、そう思っていた。
けれど、今は違う。
毎日彼女といることで、彼女の無垢な笑顔、飾らない態度を心から好くようになっている。
だから、彼女が誰かといると、誰かと話していると、心がもやもやする。
―僕と、僕だけといて欲しい。
主従の線を越えることは、いけないことだ。
分かっている。
だけど。
―今は彼女と、永久に彼女と一緒にいたい。
そう、これが...。
愛を知った、本当の瞬間。
end.