☆ 妖狐×僕SS
□三つ編み
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なんて、こんな恥ずかしいいきさつを、いくらシークレットサービスと言えど話せるわけがない!
「三つ編みで、学校に行かれるのですか?」
『うん。たまにはいいかなって。』
「……。」
それから数秒の沈黙。
やっぱり、それくらい1人でできるだろって、思うよね。
それが…普「花様!!」
『えっ』
「それは…、それはつまり僕が花様の髪に触れ…それを結う…ということですよね!?」
『えっ、そうじゃなくても三つ編みってできるの?』
「花様は本当に寛容な心の持ち主なのですね…!」
双熾くんはあたしのバカバカしい問いには答える様子を見せず、あたしの両手を大きな手でつつみ、それを自身の胸に近付けた。
ち、近い!
顔が近いよ、双熾くん!
『…と言うと?』
「あくまで犬である僕が花様の髪を結うなど、本来は出来得ないものです。それを、花様自身が望むと言うなら…。
いえ!しかしやはり僕にはそんなことは恐縮すぎて…。」
双熾くんだけにスポットライトが当たり、涙が流れていたような気がしなくもなかったが、やはりここはあたしが無理矢理切り出さないと、この幻影は消えそうにない。
『双熾くん!早くしないと、学校遅れちゃうから、ご飯を食べ終わったら結ってね!』
あたしはぶっきらぼうにそう言い放って、丁度数十メートル先に止まったエレベーターに乗り込み、いつもの場所へと向かった。