★ テニスの王子様

□桜
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『春だねー。』
「おう。」
『春だねー。』
「...」


新学期が明け、今日は始業式。
ブン太とあたしは帰り道にコンビニで軽い昼食を購入し、ミニ花見をすることにした。
大きな公園のだだっ広い芝生を埋めるように、桜の花びらがひらひらと舞い落ちていく。
あたし達は桜の木の下にあるベンチに座り、先ほど買い占めたおにぎりやらをあさる。


『あたたかい。』
「なっ。」


南風が時たま頬を撫でるので、あたしは思わず目を細めた。


「ったく、そんな顔して。他の男に襲われるぜ?そしたら...」
『うん。知ってるー!』


あたしは鮭おにぎりを袋から取り出して、ううーんと、体を伸ばした。
すると...


「ほんとに襲うぜぃ?」
『ひゃっ!?』


目の前にブン太の顔が現れる。


『びっくりさせないでよー。』
「俺はいつでも本気だぜ。」
『...分かってるよ。』


あたしはブン太の顔を真っ赤になって避けつつ、鮭おにぎりをかじった。
ブン太は息を吐いて飴の袋をちぎる。


「桜、綺麗だな。」
『うん...。もう、新学期なんて始まらなければいいのに。』
「だな。つーか、この瞬間が永遠に続けばいいのにな。」
『うん、そうだね。』


あたしは深く呼吸をしてひらひらと舞い落ちる桜を見た。 
時間が、散りゆく桜と共に、ひらひらと過ぎていく...




end.


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