★ テニスの王子様3★
□Let's song!
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「...っチ」
俺はこのクソ退屈な数学の授業中、一番後ろの席で静かに舌打ちをした。
理由は俺の制服の中に仕込まれたイヤホンにある。
すでに衣替えを終え、クラスメートはほぼ半袖を着用しているが、俺が依然として長袖のシャツを着るのにはもちろんこれが関係している。
ズボンのポケットに音楽プレイヤーを入れ、イヤホンのコードをシャツに忍ばせてから袖にそれを通して頬杖をついてるフりをしてそれを耳にあてがうだけ。
これで授業中でも音楽が聴けるというわけだ。
しかし、今日は勝手が違う。
そのイヤホンに問題があった。
1年弱使っていた俺の必需品のイヤホンから、俺の気持ちを高ぶらせる音楽が聞こえてこないのだ。
胸を踊らすメロディー、原の底に響くような重低音、ベース、自然なリズムを刻むドラム。
全部、全部聞こえない。
ポケットから音楽プレイヤーを出して音量、接触、動作を確認するものの、俺の耳に届くのはじーさん先生の若干覇気を失った声。
「フーッ。」
俺は頬杖をつくのをやめて携帯を取り出し、ブログを開こうとしたがどうも気分がノらない。
あぁ、イライラする。