★ テニスの王子様3★

□理由
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『光、光はあたしのどこが好き?』


あたしはコンビニのおにぎりをかじりながら携帯をいじる光を覗き込んで言った。


「...なんスか、いきなり。」
『だって光いっつも携帯いじってばっかりじゃん。』
「携帯とコレは体の一部ですわ。」  


光はそっけなくそう言い放ち、音楽プレイヤーを振りながらそう言った。


『あー、またそういうこと言うー。でもさ、あたしといる時くらいは...とかって思わない?』
「あ...」
『ねっ?』
「や、すんません、これは完全に癖んなってもうてん。」


光はとっさに携帯の電源を切り、それを少し遠くに置いた。
どうやらこのご様子からして、光は完全に携帯依存症だよな。
まぁ前々から思ってはいたけど。


「あー...じゃあ先輩。逆に聞きますけど、俺がどうしてこんな音楽プレイヤー持ち歩いたり、携帯ずっといじってるのか...分かります?」
『...んー、それは単に依存症だからじゃなくて?』
「ちゃいます。」
『音楽が好きだから。』
「じゃあ携帯は?」
『あー...ごめん、わかんないや。』
「先輩、やっぱり俺のこと全然わかってないっスわ。」
『は?』


一呼吸置いて光はまっすぐにあたしを見つめた。


「先輩と、ずっと一緒に、誰よりも近くにいたいから。」
『...』
「携帯があったらいつでも先輩と連絡とれるし。これがあればもっと近くに先輩を感じられる。」


光は音楽プレイヤーをいじり、イヤホンの荷担れを差し出す。


『....これ、好き。』


2人の距離が一本のコードによって自然と縮まる。 


『先輩。俺が携帯ずっといじっとるんは先輩をずっと近くで感じていたいからっスよ。』


近くにいるのをいいことに、光はあたしの頭に手を回し、強くキスをした。


『...光......好き。』
「ふっ、そないなこと、ずっと前から知ってましたわ。」


あたしと君との距離は、君に縮められてた...
なんて。


あたし、先輩らしくない。



end.


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