ショートストーリーファイル

□キャシオのあだ名は普通か
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「ロゼっちおっはよ!!今日も相変わらず眠そうで何より!」

「…うるさいな、眠いってわかるなら大声出すな」

「あははやっぱ良いわロゼっち!」

「…何が」

「あっ、ロゼッタにエリス!二人ともおはようございます!」

「おーオセっちじゃん!おはよー」

「ようオセ。お前は家近くて良いな」

「何言ってんですか。この前僕の家泊まった時は遅刻ギリギリだったくせに。貴方には今くらいの緊迫感がちょうど良いんですよ」

「…ったくわかってるよ」

「おーい!ロゼ〜オセロ〜エリス〜!グッモーニン!!」

「みんなおはよ〜」

「あっ、キャシオにシンおはよー」

「グッドモーニングでーす」

「よう、シンに青頭」

「おいぃぃ!てめぇいつまでそのあだ名で呼ぶつもりだよ!」

「付き合いがある間は」

「てめぇこの!」

「まあまあキャシオ。あだ名があるってことは親しい証拠なんですからそう怒らずに」

「誰が親しいんだよ!」

「いや俺が見る限りでは十分親しいと思うよ、ロゼ君」

『どこが!』

「そういえばさ、キャシオをあだ名で呼ぶのってロゼっちだけだよね」

「そういえばそうですね」

「こんなあだ名無い方が良いけどな!」

「……」

「何でだろ?エリスも俺とキャシオは普通に呼ぶでしょ」

「うーん、多分普通に呼んだ方が言いやすいからだと思う。意識したことないけど」

「“っち”って言いにくいですもんね」

「そういうシンもなんでロゼっちとオセっちだけ君付けなの?」

「…う〜ん…、キャシオは同じマンション住んでて昔から知ってたから呼び捨てだけど…。オセ君もロゼ君もなんか呼び捨て出来る人じゃ無いような感じがしてさ。こう、存在感が」

「あたしは?」

「いやあ…みんなエリスって呼んでるし“ちゃん”も“さん”も合わないような気がしてさあ」

「あっはー!仲良い証拠!」

「そだね」

「…ロゼッタ、そんなに照れないで下さいよ」

「照れてねえ!!」

「キャシオもあだ名があるってことは良いことなんだからそう毎回ヒートアップしないでよ」

「うるさいっ!オレは容姿であだ名つけられんの嫌なんだよ!バカにされてるみたいじゃねーか!!」

「だって馬鹿だろ」

「てめぇぇいい加減にしろ!!」

「僕は別に馬鹿にしてるようには聞こえませんよ。今は」

「今は?」

「最初は完全に馬鹿にしてましたけどね。今はただそれで定着しちゃったから呼んでるだけに思えます」

「あーあーそれあたしも思う。なんだかんだ言ってロゼっちキャシオ大好きだもん」

「喧嘩する程仲が良いって言うしね」

「……」

「……」

「と、いうわけでキャシオ。もう今は普通のあだ名だって捉えれば良いんですよ。愛着をもって呼ばれてると思えば」

「…いや普通じゃねえよ。シンだって“金髪”って呼ばれたら嫌だろ?」

「まあ確かにそれは嫌かも…でも多分ひねりがなさすぎるからだよ。金髪なんてどこにでもいるし」

「…そうかあ?」

「そうだよそうだよ!あたしはこの髪の毛見て“桃色”とか“ピーチ”とか呼ばれても全然良いよ」

「ピンクも青もなかなかいないですからね」

「う〜ん…」

「そうそう、やっぱりキャシオが普通って思えば普通になるって。なんせ相手はロゼ君だし」

「どういう意味だ!!」

「じゃあ、考え方を変えよう!ロゼっちが名前で呼んだらどうなるか!!今日一日ロゼっちはキャシオのこと名前で呼ぶこと!」

「…はあ?」

「良いじゃ無いですかロゼッタ。実験実験」

「なんで俺がわざわざそんなこと」

「照れないでよロゼ君」

「だから照れてねえって!」

「はいはいじゃあ今からスタートね!罰ゲームは“一日メガネ呼ばわり”。はいっ!!」

「呼ばなければ良い、は無しね」

「……」

「緊張しない緊張しない」

「……」

「…おい、キャシオ早く教室行くぞ」

「……」

「……」

「……」

「……なんだよ」

「…なんか気色悪い」

「なんだと!?てめこの!!!!」

「うわっロゼが怒った!!ちょ…ちょっと待てって!うわぁぁ…――」

「……」

「……」

「…やっぱり今までのままで良いみたいですね」

「…そうみたいだね」

「う〜ん、仲良いことは良いことだ!」

「同感です」

「…さ、俺たちも行こっか」

「さんせーい!!」

「…ところでアレはまだ続くんですか?」

「ん?そりゃあモチロン」

「なんかキャシオもロゼ君もかわいそうじゃない?」

「良いじゃん。面白いから」

「…うん」

「…そう…ですね」

「さあさっさと行こう!遅刻遅刻!」

「……」

「……」

「…鬼だ」

「…鬼…ですね」
 

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